リーグ3連覇を目指す巨人は、メジャー通算96発のエリック・テームズ(34)と1年契約を結ぶという。2017年、ブルワーズで4月に球団月間記録の11本塁打を放ち、自己最多の31本塁打を記録した強打者は、果たして日本で活躍することができるのか。

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 テームズは、2008年にブルージェイズに入団し、2011年にメジャーデビューを果たした。14年から韓国リーグ(KBO)へ。NCダイノスに所属し、14年は打率.343、37本塁打、121打点をマーク。15年は打率.381(1位)、47本塁打、140打点、40盗塁と大活躍した。16年も打率.321、40本塁打(1位)、121打点を記録。3年間で124本塁打を放ち、韓国では“神”の愛称で親しまれたという。

 17年からブルワーズでメジャー復帰。その年は打率.247、31本塁打、63打点。18年は打率.219、16本塁打、37打点。19年は打率.247、25本塁打、61打点という成績を残した。20年はナショナルズに移籍したが、10月にFAになっていた。

 巨人での年俸は、推定で120万ドル(約1億2500万円)というが、

「テームズは、メジャーではプラトーンプレーヤーでした」

 と語るのは、メジャーリーグ評論家の友成那智氏。

左投手の変化球に対応できない
 プラトーンプレーヤーとは、右投手の時にしか起用されない左打者、或いは左投手の時にしか起用されない右打者のことだ。ちなみに、右投手でも左投手でも関係なく起用できる選手は、エブリデイプレーヤーと言われるそうだ。

「日本に来るメジャーリーガーは、なにかしらの欠点があることが多い。超一流ではありません。テームズは左打者ですが、メジャーでは右投手が先発した時だけ起用されていました。左投手は苦手なんです。左投手の変化球に弱く、特にスライダーには対応できません」(同)

 なんと、右投手専門だったとは。巨人では、プラトーンプレーヤーとして起用されるのだろうか。

「巨人は右投手専用打者と割り切って起用しないと、活躍は難しいでしょうね。左投手の時でも出場させると、打率は2割を切る可能性もあるとみています」(同)

 巨人は、これまでプラトーンプレーヤーを獲得したことがあるという。

「2016年と17年の2年間プレーしたギャレット・ジョーンズです。左打者で、左投手には極端に弱かった。なのに、右、左投手に関係なく開幕から4番で使っていました」

 16年は打率.258、24本塁打、68打点を記録したが、17年は1軍に上がることができず、自由契約となった。

「テームズは、ボール球にも手を出すフリースインガーでしたが、韓国リーグへ移籍してから、じっくり見極めて打つようになりました。韓国の投手は速球の比率が日本より高く、攻めのピッチングをしてくる。そのため好成績が残せたとみています」

ピークを過ぎて下り坂
 もっともセリーグの投手は変化球を多用するので、韓国と同じような活躍は難しそうだという。

「彼は、常にフルスイングするタイプで、メジャーでは三振率が30%と高かった。スプリットやスライダーなどの変化球が苦手で、緩急の攻めにも弱い。日本では三振率は40%になる可能性もありますよ。これだけ三振が多いと打線がつながらないので、打順は6番くらいが妥当でしょう」(同)

 テームズを上手く生かす方法はないのだろうか。

「彼はとうにピークを過ぎた選手ですが、左投手が得意な中島宏之と組んで、右投手ならテームズ、左投手なら中島を起用すれば、戦力になるのでは。ただ、巨人がそこまで考えているかわかりませんが」

 友成氏によれば、テームズはDH制のあるパリーグの方が向いているという。

「彼は、外野と一塁を守っていますが、打球への反応が鈍く、守備範囲も狭い。一塁だったら、中の下くらいのレベルです。本来なら、指名打者で使いたいところですね」(同)

 バッティングに波があるのも不安材料という。

「ブルワーズ時代に、月に11本の本塁打を放ったことがあるものの、スランプも長いんです」(同)

週刊新潮WEB取材班編集

2021年1月5日 掲載

https://news.yahoo.co.jp/articles/e2716d9b017c3fcab7a9824b439b0b677bacec8b
1月5日(火) 5:58配信