0001征夷大将軍 ★
2020/12/28(月) 12:25:56.40ID:CAP_USER9https://number.bunshun.jp/articles/-/846450
前回の箱根駅伝では7区間で区間記録が更新される歴史的な高速レースとなった。しかし1区で区間賞を取った米満怜(創価大4年、現コニカミノルタ)は佐藤悠基(当時東海大2年、現SGホールディングスグループ)が持つ区間記録、1時間1分06秒に7秒届かなかった。ナイキの高機能シューズに加え、有力選手も多く集い、気象条件にも恵まれた前回大会。ハイレベルなレースが展開されたもののその壁は厚く、改めて偉大な記録だと感じさせられた。
コロナ禍に見舞われた2020年だったが、大学長距離界では好記録が続出し、全体のレベルはあがっている。では今回の箱根駅伝、最古の区間記録である1区の記録が塗り替えられる可能性はあるだろうか。
更新の可能性を考える前に、まずはこの記録が出された2007年第83回大会の状況を見てみたい。
大学2年生だった佐藤は2006年の10000mの日本人リスト1位であり、実業団まで含め、すでに日本のトップ選手だった。また前年には1年生ながら3区で区間新記録も樹立している。中学時代から世代トップをひた走り、佐久長聖高では今も残る10000m28分07秒39という高校記録も作ったスター選手。その存在感はあまりにも大きく、当時の1区を走る選手の間では「別格」の存在と見られていた。
事実、スタート直後に飛び出すと、その背中についたのは大西智也(当時東洋大2年、現旭化成コーチ)ただひとり。しかしそれも2km手前までで、自分のペースに戻し後退している。佐藤は5km14分06秒(ラップタイムは非公認、以下同)、10kmは28分18秒のハイペースで通過。大西も単独走で2位を走る形になったが、3位以下は完全に佐藤を見送ると同時に集団間でけん制を開始した。佐藤はあまりのハイペースに後半は足にけいれんを起こしながらの力走となったが、約20キロをひとりで押し切り、2位に4分01秒の大差をつけている。
大迫傑、中村匠吾が挑んでもなお届かなかった。以後、東京五輪男子マラソン代表に内定している日本記録保持者の大迫傑(Nike)、中村匠吾(富士通)など多くの実力者がこの1区に挑んできた。しかし彼らも区間賞こそ手にしたが、佐藤の記録には届いていない。ここからも佐藤の記録更新の難しさ、そしてそこに迫る選手が出てきた近年の大学長距離界のレベルアップが見て取れる。
では今大会、記録更新の可能性はあるのだろうか。気象条件やこの1区を担うメンバーの顔触れにもよるが、不可能ではない条件は整っていると言えそうだ。
当時の佐藤の10000mのベストは28分07秒02。1年時に3区(21.5km)を1時間2分12秒で走っているが、この時点でハーフの記録を持っていなかったので10000mを基準に考えよう。1区を担うと目されている選手では吉居大和(中大1年:10000mベスト28分08秒61)、塩澤稀夕(東海大4年:同28分08秒83)、井川龍人(早大2年:同28分12秒13)、福田悠一(創価大4年:同28分19秒26)が佐藤に近いタイムを持つ。また予選会日本人トップの三浦龍司(順大1年)も1区の可能性が高いひとり。10000mのベストは持っていないが、予選会では吉居らを抑えて日本人1位なだけに実力はこの中でもトップクラスと考えていいだろう。
また10000mで佐藤のタイムを上回る選手も多く、今大会のエントリー選手では9人(日本人は5人)。ほとんどが他区間に回りそうだが、もし1区を担えば記録更新の有力候補になる。例えば27分54秒06の中谷雄飛(早大3年)は過去2大会、ここを走っている。大きく力を伸ばした今季だが、3度目の挑戦がないとは言い切れない。ここまで示した通り、佐藤を越える、もしくは佐藤に迫るタイムを持つ選手は多い。
彼らのような実力者が複数名1区を走ればという条件付きでここからは話をしたい。そして高いレベルで選手が揃う可能性があるという事実が、「別格」扱いされた佐藤の時と最大の違いであり、記録更新への期待感へとつながる。それはひとりで走るより、集団で走るほうがペース管理がしやすく、ゆとりが生まれるからに他ならない。
1区は途中、六郷橋、新八ツ山橋で多少の起伏があるものの、全体的にフラットでコース自体の難易度は高くない。今の選手はハイペースで入ることへの恐怖心を持っておらず、よほどのオーバーペースでない限り、誰がペースを上げても、それを見送ることはないだろう。それだけ上位陣の実力は伯仲している。
例えば前回大会も終盤まで集団でレースは進み、米満だけでなく藤木宏太(当時國學院大2年)も区間記録に12秒、池田耀平(当時日体大3年)も15秒に迫っている。そして今季もフラットかつ低気温の好条件で行われた箱根予選会(21.0975km)では三浦が5km14分37秒で入り、1時間01分41秒のU20日本最高記録(長文の為以下リンク先で)