0001征夷大将軍 ★
2020/12/04(金) 21:34:49.96ID:CAP_USER9大学サッカーで最も“客が入る”のが、早慶サッカー定期戦だ。全日本大学サッカー選手権(インカレ)の決勝よりも多くの観客動員を誇る伝統の一戦は、大学サッカーを代表するビッグイベントと言って差し支えない。1950年に日本初のナイター試合として開催された第1回から数えて、今年で71回目を迎える。
早稲田と慶應が同一カテゴリーにいる場合、確約された両者の顔合わせは年に3回ある。前期と後期のリーグ戦と、例年夏に行なわれる早慶サッカー定期戦だ。現在、定期戦に限ると早稲田が8連勝中。最後の敗戦は、慶應が河井陽介(現・清水)や田中奏一(現・鹿児島)らを擁した2011年にまで遡る。
今年は新型コロナウイルスの影響で、リーグ戦の日程がイレギュラーになったこともあり、12月5日に予定されている後期のリーグ戦における早慶戦を、「定期戦」と位置づけて開催されることになった。これは史上初の試みである。夏の恒例行事がなくなった寂しさは残るものの、リーグ戦の一部に組み込まれたことで、より“真剣勝負”の度合いが強まるのは言うまでもない。
ただし、今季の両者が目指すところは対照的で、早稲田は優勝、慶應は残留だ。3年ぶりに1部を戦う慶應は対戦相手へのリスペクト精神を強く持ち、驚くべきハードワークを毎試合のように体現している。なかでも際立つタレントが、3年生ながらJ2山口への入団が内定しており、すでに特別指定選手として今季リーグ戦デビューも果たした橋本健人だ。その左足のキック精度は、現在の大学サッカー界でトップレベル。リーグ戦前期の早慶戦(9月19日)でも、彼の直接FKによって慶應が1−0の勝利を収めている。
「あの試合が一番、それまでのゲームの中でも“相手を圧倒する”ということが、確実にできていた」
外池大亮監督が振り返るとおり、この試合では早稲田が、ポゼッション、シュート本数、決定機数のすべてにおいて慶應を上回った。しかし87分の一撃に沈み、悔しい敗戦を喫したのだ。今年2度目の対戦は、いわばリベンジマッチ。連敗は許されない。
早稲田としては、やはり橋本をいかに封じるかがひとつのポイントになる。別格の存在感を放つこのサイドアタッカーを自由にさせては、確実に勝利は遠のく。ただし、ゴールを奪わなければ勝点3は得られない。よって早稲田のキーマンは、3年生のエースストライカー、加藤拓己だ。
昨年の定期戦で値千金の決勝点をマークし、そこからコンディションが上昇。残留を決めた最終節でも2ゴールを叩き込んでいる。加藤がネットを揺らせばチームも活気づくだけに、タフな慶應守備陣の隙を突いて大きな仕事をやり遂げたい。
「高校3年の時に試合を見に行って、これだけの観客の前でサッカーができるなんてカッコいいなと思った。それで早稲田に入りたいと。自分の中では永遠の憧れの舞台」
かつて相馬勇紀(現・名古屋)は、早慶戦への思いをこう口にした。ただの1試合ではなく、見る者の人生までも大きく左右するゲーム──。彼以外にも、この伝統の一戦を目にして早稲田への憧れを抱き、ア式蹴球部の門を叩いた選手は多い。そういう意味では、このピッチ上で選手たちが魅せるプレーが、未来のスターを生み出す可能性もあるのだ。
「特別な空間」
外池監督は早慶戦をそう表現する。
11月14日、優勝を争う明治との直接対決に敗れ、勝点3差の2位となった早稲田(11月29日現在、暫定ながら明治と勝点3差の首位)。12月5日の早慶戦は絶対に負けられない、いや、絶対に勝たなくてはならない、まさしく特別な一戦となる。
サッカーダイジェスト 2020.12.04
https://www.soccerdigestweb.com/news/detail/id=82718