0001征夷大将軍 ★
2020/11/27(金) 18:24:25.22ID:CAP_USER9競歩において、なぜか忘れられないシーンがある。7年前の話だ。2013年4月。日本選手権(日本陸上競技選手権大会)50km競歩の試合後、記者会見待ちの鈴木雄介と少し話すタイミングがあった。そこで、「競歩ってキャリアが長くなると50kmのほうに移って、20kmは若手に任せる文化があるんですよね。なんとなく、後輩に道を譲る、みたいな」と彼が言った。特別な会話ではなかったが、「そんなことがあるんだなぁ」と感じたのが、印象深い。
そこで思ったのだ。ここまで10年以上取材してきた競歩。だが、実は「五輪で金メダルを取るかもしれない競技を、ひょっとして5%も理解してないんじゃないか」と。これは大会までに、いろいろと解き明かさなければならない。例えば、ゴール目前でトイレに行っても大丈夫なのか、とか……。
そんなちょっと聞きにくいことも、2013年のモスクワ世界陸上(世界陸上競技選手権大会)でも日本代表男子主将を務めた森岡紘一朗なら答えてくれるはずだ。世界記録保持者の鈴木雄介をして、「先輩の森岡さんを追い越そうと頑張った活力が世界記録につながった」と語る存在。競歩界のパイオニア今村文男氏が“日本競歩の父”なら、日本に競歩熱を呼び起こした“競歩界の長兄”とも言える人物である。
どんな質問にも実直に答えてくれる彼なら、微妙な質問も明確に回答してくれるだろう。まず気になるのは、トイレだ。50kmだと4時間弱、20kmでも1時間半〜2時間程度歩きっぱなしになる。2019年のドーハ世界陸上50km競歩では、金メダルを獲得した鈴木選手が30km手前で1回、 40km以降1回、計2回トイレに行った。そこには休憩や駆け引きなど、戦略的な狙いがあったのではないか。すると、予想外というか、よく考えると至極当然な答えが返ってきた。
――ドーハ世界陸上では鈴木選手が終盤にトイレに行くシーンがありました。ゴール直前でもトイレに複数回行くことはあるのでしょうか?
森岡:正直なところ、珍しいですね。行く選手も稀にいますが、トップ選手が何度もトイレに行くのは、やはり時間のロスにつながる。後続選手とのタイム差を踏まえ、ドーハという高温多湿の環境下でのレースで、どうしても防ぎきれなかった、ということだと思います。
――休憩する狙いや、戦略的意味合いで使う選手もいないと。
森岡:ほとんどいないですね(笑)。順位として余裕があった、体の状態として行かざるを得ない状況だったのだと思います。
――では、トイレ内での行動はとにかく早く用を足して、なるべく早く出たい、と。
森岡:過酷なレースゆえに吐き気を催すこともあるため、吐いたらスッキリしてペースアップできたなど、一つの選択肢として使う選手はいます。しかし、レースの戦略上、トイレを活用する選手はほとんどいないですね。当然、時間は「極力短く」が鉄則です。
――トイレに関するあまり知られていないエピソードはありますか?
森岡:例えば自転車のツール・ド・フランスなど長時間かかる競技だと、選手も自転車に乗りながら、ほとんどテレビには映らないですが、トイレのシーンがあったりすると思います。そのように、競歩でも稀に、歩きながら器用に用をたす選手もいますね。また20kmでは「お腹が冷えてトイレに行きました」という選手も稀にいますが、ほぼトップ選手は使わない。女性だと50km競技自体が世界大会でも珍しいため、男性の50kmに限定された話だと思います。なおトイレは、20kmでも50kmでもコースに併設されています。
20km・50kmを歩く競歩では、コース上の選手を審判が走っていないかチェックする。主な反則は2つ、「ロス・オブ・コンタクト(両足が地面から離れてしまうこと)」と「ベント・ニー(膝が曲がってしまうこと)」だ。3人以上の審判から警告(レッドカード)を受けると「失格」。近年は「ペナルティゾーン」のルールが新たに適用され、3回警告を受けると20kmで2分、50kmだと5分間のペナルティ(ボックスに入り歩けなくなる)、4人目のレッドカードで「失格」となる。
(長文の為以下はリンク先で)
リアルスポーツ 2020.11.27
https://real-sports.jp/page/articles/462153917778625577