妖しくきらめくピアノの音に、ひずんだギターが絡みつくイントロ。そして、坂本が迷いを含んだ雰囲気で歌い始める。「目を覚ませばそこは土の中」――。
謎めいた詞の背景は次第に明らかに。「あんなに尽くした私が 邪魔になったのね」「だけど男は不意に手をかけた」。「桑田さんから“歌謡サスペンス劇場”と言われて腑(ふ)に落ちた。私はその主人公なのだと。結婚したい人に尽くした揚げ句、手をかけられてしまった女性。その現実を受け止められずに魂がさまよう。なんて哀れでかわいそう」
魂が思いを語るフィクションを演じつつ、「正直、共感する部分もあった」と打ち明ける。「あやめられるところまではいかなくても、女性なら一度や二度はこのような思いをした方はいると思う」
坂本は、「彼氏の影響で中学1年生の時からサザンオールスターズのファン」。だが、桑田に会ったのは、2018年のNHK紅白歌合戦が最初だった。「リハーサルで握手をしてもらって、本番の歌唱を間近で見て、ずっと抱いていた思いがふつふつと湧いて。その後に手紙を書かせていただきました」と振り返る。
桑田が、他の歌手に詞曲を提供するのは23年ぶり。渾身(こんしん)の力作は、一歩間違えれば重苦しいテーマに、あるいは逆にパロディーととられかねないが、品と色気、軽い味わいを併せ持つ坂本ならではと読んだのだろう。「ポップなリズムによって怨念めいたものも感じさせない。桑田さんのマジックです」
坂本の劇場型ソングといえば、好きな人に会いたいがために放火の罪を犯す「八百屋お七」を下敷きにした「夜桜お七」が想起される。「お七は、10代で初めて好きになった人に命をかけて思いを遂げる。でも、『ブッダ』の主人公はいくつかの恋愛経験を経て、これが最後なんだという思いだった。それだけに切ない」
とはいえこの歌、結末も一筋縄ではいかない。男への恨み節、母への謝罪、現世への執着を重ねた揚げ句、「やっぱり私は男を抱くわ」と締めるのだ。「悟りを開いたブッダのように、彼女は悟ったんです。また男の人を愛して、同じことを繰り返してしまう、と。深い歌です。何度も歌ってみたいし、聴いてみたくなる」
https://news.yahoo.co.jp/articles/9e78b1f7f28938c1b9e1b74da10933e8878cc301
11/26(木) 13:11配信
https://www.youtube.com/watch?v=tCirch1EV3w
坂本冬美 - 「ブッダのように私は死んだ」Music Video
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