ソフトバンクが巨人との日本シリーズ第3戦(ペイペイ)に4―0で快勝。4年連続日本一に王手をかけた。7回をノーヒットに抑える圧巻の投球を見せたのが先発・マット・ムーア投手(31)だ。球団としては何としてでも来季も残留してほしいところだが、左腕の復活にはメジャー球団も熱い視線を送っており争奪戦≠ヘ必至。ムーア残留が「最大の補強」となるが、果たしてどうなるか。 

 ムーアが圧巻の投球を披露した。最速154キロの直球と切れ味抜群の変化球をコースに投げ込み、巨人打線の前に仁王立ちした。7回をノーヒットに抑えて、勝利の方程式のモイネロ、森にバトンを渡した。

 ノーヒットノーラン継続中での降板となったが「そこは監督の決断というか采配。勝つために最善の策ということでやっていると思う。自分は選手なので決断に従うだけです」とニッコリ。「日本シリーズということで特別な意識はしないで、普段のレギュラーシーズンのときと同じような気持ちで臨みました」と振り返った。

 レイズ時代の2013年に17勝を挙げている左腕の貫録の投球には工藤監督も「素晴らしいというよりすごかった」と脱帽。「この大きな舞台でノーヒットに抑えるというのは、このゲームに向けて心技体でしっかりと調整してくれたという表れだと思う」とたたえた。

 球団の評価は抜群だ。今季は6勝3敗、防御率2・65。その数字以上に素晴らしい内容の投球を続けてホンモノぶりを見せつけた。来季はさらに数字を伸ばしそうな気配さえある。今オフの最大の補強候補だったヤクルト・山田哲がFA宣言をせずに残留することが決定。それだけに1年契約の切れるムーアの来季残留が「最大のテーマになるんじゃないか」(チーム関係者)との声も出ている。

 ただ、いくらソフトバンクでも苦戦は必至となっている。ムーアは昨季、右ヒザの手術を受けていたことで、思うような評価を得られず、日本球界にやってきた。それが万全の投球で復活を証明した姿にメジャー球団も熱い視線を注いでいるからだ。「当然、アメリカに戻ることとの比較になるだろう。かなり長引くんじゃないでしょうか」(球団関係者)。長期戦覚悟で交渉を続けるという。

 アメリカは日本以上にコロナ禍に見舞われており、試合数も大幅に削減して無観客でシーズンが行われた。各球団の収益も大幅に減少している。来季もまだ不透明だ。その一方で日本球界は120試合とはいえ完了した。ムーア自身も苦しい窮状だった自らと好条件の契約を結んでくれたソフトバンクには恩義を感じており、日本球界のメリットも理解しているようだ。

 いよいよ王手をかけた日本一4連覇の先にある5連覇に向けても、ノーヒット男の去就に注目が集まる。

11/25(水) 5:15
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