RIZINの舞台で初めて朝倉未来が敗戦を喫した。

 11月21日、大阪城ホールで開かれた「RIZIN.25」のRIZINフェザー級初代王者を決めるタイトルマッチ。RIZIN7連勝中の朝倉未来(28)は斎藤裕(33)に0−3の判定で敗れ、初代王座を逃した。

 試合前、下馬評は圧倒的に「朝倉有利」だった。

「試合から遠ざかっていたとはいえ、RIZINで7戦全勝という実績もありますし、トレーニング相手の弟の朝倉海選手も試合前に『いまの兄貴はマジで強い』と話していた。未来選手自身も『今回の相手に勝っても価値ってそんなに高くない』と話していましたし、斎藤選手については『全体的にそつなくやれる選手ですけど、特化したものがないので何も怖くないなっていう』と分析していた。これまで通りの余裕をみせていて、『勝つのは朝倉選手だろう』という声が圧倒的だった」(業界関係者)

 その相手にRIZIN初黒星を喫してしまった朝倉。敗因はどこにあったのか。朝倉に近しい現役格闘家は「余裕を持ちすぎていた」と分析する。

「朝倉選手は打撃も寝技も上手だが、その技術は他の選手と比べて飛びぬけたものではない。卓越した分析能力をもとに攻撃を仕掛けるタイミングの取り方が飛びぬけて上手な選手。だけど今回は、本人も試合後に『もうちょっと行けた』と語っているようにエンジンをかけるのが遅かった」

 3R、残り1分の場面で朝倉が左ストレートをヒットさせ、斎藤の膝が崩れるシーンなど、朝倉優勢だと感じる局面もあった。

「確かにあの左ストレートは強烈でした。だけどその直後、朝倉選手は斎藤選手を倒しに行こうとしなかった。いや、できなかった。それは斎藤選手のパンチが効いていた証拠です。予想以上にそれまでのダメージが蓄積されていたんでしょう。1Rが終わった時点では『朝倉選手が、いつものように次で倒しに行くな』と感じたんですが、テイクバックをしかけたり、相手をよく見て攻撃に転じたのは斎藤選手のほうだった。僕が見ても朝倉選手の0−3の判定負けです」

 試合後、朝倉は判定負けについて「2ラウンドが終わった時点で、セコンドが『勝っている』と言っていたので3ラウンドとれば勝ちと思っていた」と振り返り、「パワーがあんなにあるとは思っていなかった。ダイレクトリマッチをしたい。次やったら勝ちますよ」と再戦を希望した。

 格闘技ファンにとって朝倉の次戦がいつになるのか、相手は誰なのか、気になるところだろう。来年2月28日に東京ドームで新格闘技イベント「MEGA2021」に出場するボクシングの元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザーと対戦すると取りざたされているが、それも今回の敗戦で遠のいてしまったのだろうか。格闘技業界関係者は「それでも朝倉未来」と話す。

「試合後に負けた相手と『リマッチをやりたい』と思うのは格闘家の性ですが、朝倉選手は格闘技をとことん追求して、多大な情熱を傾けるタイプではなく、どちらかというとビジネスのひとつとして捉えている。試合後の会見では『(メイウェザー戦について)そんなこと言ってる場合じゃない』と話していましたが、本音ではメイウェザーでしょう。試合までの期間や主催者の意向など超えなければならないハードルはたくさんありますが、本人は対戦を望んでいるはずです」

 メイウェザーと対戦する日本人選手については、インターネット上で予想合戦が続いている。今回の敗戦前まで有力候補だった朝倉のほかにも、2018年大みそかに行われた「RIZIN.14」でメイウェザーにTKO負けしたキックボクシングの那須川天心(22)や元RIZINバンタム級王者の堀口恭司(30)などの名前も挙がる。だが、前出の現役格闘家は意外な選手の名を挙げる。

「僕は久保優太選手(33)だと思います」

11/22(日) 6:10 Yahoo!ニュース 254
https://news.yahoo.co.jp/articles/3e9240a30f88ceb248ec033b5731c6723e0e27cd