新型コロナの影響で35年ぶりに日本シリーズで全試合DH制が採用されることになった。巨人の原監督は「野球界の発展のため」にセのDH制導入を主張している(写真・黒田史夫)

NPBは19日、12球団による臨時実行委員会を開催し21日に開幕する日本シリーズの全試合を通じてDH制度を採用することを決定した。当初は例年通りにパ・リーグの本拠地ゲームとなる第3、4、5戦の3試合のみにDH制が採用される予定だったが、ソフトバンク側から「投手の肉体的負担や怪我・故障のリスクを少しでも軽減することにつながる」との理由で全試合DH制採用の提案があり、巨人が受け入れ、12球団の合意を持って新型コロナ禍の特例措置として全試合DH制が導入されることになった。全試合DH制は、1985年の阪神―西武の日本シリーズで採用されて以来、35年ぶりとなる。

コミッショナー側はセ導入議論との関連を否定
 唐突な決定だった。新型コロナの感染拡大の影響で開幕が3か月遅れ、過密日程を余儀なくされ、故障者やコンディション不良の選手が目立ったシーズンであることは確かである。
「投手の肉体負担をできる限り減らしケガのリスクを減らしたい」との意図も理解できる。だが、開幕2日前の決定には違和感を覚える。
 あくまでもソフトバンク側が提案してきたのではあるが、これまで巨人がセ・リーグのDH制度導入を主張してきた動きにリンクしているように見える。これを機にセ・リーグのDH制度導入への議論を高める布石のように思えてならないのだ。

 コミッショナーサイドは、あくまでも「通常のシーズンに比べ、選手の疲労度・肉体的負担も格段に多かった特殊なシーズンであったという状況」を理由にした特例であることを強調し、わざわざ「今回の判断はあくまでも今年の日本シリーズに限ってのことです。セ・リーグ内で、そういう議論が続けられているのは承知しているが、この議論は今回の決定と一切関係はありません」と釘を刺した。
 だが、コミッショナーサイドが「関係ない」と否定しても、DH制度の導入の議論に火がつくことは間違いないのである。

 最終的に「全会一致」となった、この日の臨時実行委員会でも採用に慎重な意見が出たことをコミッショナーサイドは認めている。あくまでも推測だが、慎重意見を出したのは広島、中日だと考えられる。

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11/20(金) 7:28配信