ひき逃げ事件を起こした伊藤健太郎(23)、大麻取締法違反で逮捕された伊勢谷友介(44)、モラハラ不倫をスクープされたブラザートム(64)と、主要なキャストが次々と不祥事を起こしたいわくつきの映画「とんかつDJアゲ太郎」が10月30日に公開された。良くも悪くも話題性には事欠かないが、興行的には6位スタートと惨敗。翌週にはトップ10圏外に消えてしまった。その厳しい状況について、映画批評家の前田有一氏が語る。

「3人が演じる劇中の役柄がシャレになりません。伊藤は成功したIT社長で大人気DJという、主人公の憧れ的な存在。理性的で人間性も高い“完璧キャラ”ですが、その真逆のひき逃げのイメージがすべてをぶち壊しています。ブラザートムも、昔かたぎの職人役で父親として主人公のアゲ太郎を説教する役ですが、モラハラ不倫の後では何を言っても説得力ゼロでしょう。揚げ句の果てには伊勢谷演じるDJオイリーは、脂に目がない超偏食設定で、“白い”ラードを恍惚として味わう姿は完全にヤバイ人です。これでは“呪われた映画”などと言われてしまうのもやむなしでしょう」

ポップな成長物語のはずが…
 突然クラブカルチャーに目覚めた老舗とんかつ店の息子、揚太郎(北村匠海)が、ゼロからDJ修業に挑むポップな成長物語。少年ジャンプの電子版『J+』で連載されたイーピャオ(原案)と小山ゆうじろう(漫画)による人気ギャグマンガを実写化した。

「原作は、チャラいと誤解されがちなDJという仕事・文化の魅力と、関わる人々の真剣さを伝えた傑作です。さらに、表面的なカッコよさに引かれて入門したアゲ太郎が、“カッコ悪い”とバカにしていた家業のとんかつ店とDJ稼業の共通点を見いだし、やがて父親をも尊敬していくまっとうな親子愛の物語でもある。しかし映画版はどちらも中途半端で、ろくな努力もせず主役がのし上がるご都合主義なクラブ映画になっています。口コミもいまいちで、今後も伸びる要素は残念ながらありません」(前田氏)

 逆風にさらされながらも、主演・北村匠海(23)は宣伝活動に奔走。伊藤と交際中の山本舞香(23)も初日舞台挨拶では気丈に振る舞っていたが、カラッと気分がアガるわけもなし。いわくつきの作品となり、“後味”まで悪くなってしまった。

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