さらば、モリケン―。千葉県の森田健作知事(70)が来年4月の任期満了に伴う県知事選に出馬せず、政界引退の意向を固めたことが10日、分かった。週内に記者会見などで態度を明らかにする。国会議員などへの復帰を勧める声もあるが、今後については「少し休養したい」との意向。「モリケン」の愛称で親しまれ、俳優として活躍したことから、文化人として芸能界での活動を検討している。


 新型コロナウイルスの影響でエンタメ業界は大打撃を受けており、所属する老舗芸能事務所「サンミュージック」の事業にも協力していく考え。同事務所は1968年に、森田氏を初の所属タレントとして迎え、創業している。こうした経緯を踏まえ、関係者によると、幹部として迎えたいとの話もあるという。

 森田氏は次期知事について、堂本暁子元知事や自身が千葉県出身ではなかったことから、「県出身者が望ましい」との考え。新型コロナ対策を行うため、「国と連携が十分できる人物がふさわしい」とも周囲に示している。

 森田氏は俳優として活動後、1992年から参院議員、衆院議員を経て、09年の千葉県知事選で初当選し、現在3期目。公約とした東京湾アクアラインの通行料金800円(普通車ETC利用)への引き下げを実現し、周辺地域の活性化などに尽力した。また、来年7月に延期となった東京五輪・パラリンピックでは千葉県内に、フェンシングやサーフィンなど計8競技の誘致に成功。菅義偉首相(71)とも親しく、支援者からは次期知事選に出馬した上で、国とのパイプを強化してほしいとの声もあったが、「多選は停滞を招く」との考えから、引退の決断を下した。

 同県知事選を巡っては、千葉市の熊谷俊人市長(42)が立候補を表明。自民党の一部議員が支援する考えだが、県連は熊谷氏を支援せず、独自候補の擁立を目指している。一時は前スポーツ庁長官の鈴木大地氏(53)の擁立を進めていたが、本人の意向を踏まえ、断念。県にゆかりのある候補者の選定を進めている。

 ◆森田 健作(もりた・けんさく)本名・鈴木栄治(すずき・えいじ)。1949年12月16日、東京都大田区生まれ。70歳。明学大中退後、芸能界デビュー。71年、日本テレビ系「おれは男だ!」が大ヒットするなど俳優として活躍。92年から参院議員1期、98年から衆院議員2期。2009年3月の知事選で初当選。現在3期目。

2020年11月11日 5時0分
https://hochi.news/articles/20201111-OHT1T50049.html