肉まんは和食?

 時事通信は10月30日、「『日本食』のはずが中華風に 英料理番組に批判殺到」の記事を配信し、YAHOO!ニュースのトピックス「国際」にも選ばれた。

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 まずは、冒頭部分をご紹介しよう。

《英放送局チャンネル4の人気料理番組で、日本をテーマに料理の腕を競うはずが、出場者が中華風やインド風の料理をつくってしまい、批判が殺到する事態となった》(註:全角数字を半角に改めた。以下もデイリー新潮の表記法に合わせる)。

 この《人気番組》は「ブリティッシュ・ベイクオフ」(以下、ベイクオフ)といい、お菓子作りがメインのコンテスト番組だ。

 2010年に放送がスタート、現在は第11シーズンの長寿番組でもある。公共放送のチャンネル4が放送しており、時事通信は《平均で約700万人が視聴し、チャンネル占拠率は33%に上った》と“視聴率”の高さも紹介している。

 問題の番組は10月27日の午後8時からオンエアされた。“日本”をテーマに料理の腕を競うはずが、なぜ中華料理やインド料理になってしまったのか、まずは時事通信の記事からご紹介しよう。

《今回の放送では「日本」がテーマとなり、「蒸しまん」「抹茶ミルフィーユ」「KAWAII(かわいい)ケーキ」の三つが課題として設定された》

■疑問だらけの番組

《ただ、出場者の一人は蒸しまんをパンダの顔のように飾り付けたほか、別の出場者もインドの食材を多用して「カレーまん」を創作》

《「かわいいケーキ」でも、日本のシバイヌに似せた飾り付けをした出場者もいたが、総じて抹茶パウダーを使用する以外は日本らしさに乏しかった》

 そもそもの疑問として、《日本をテーマに料理の腕を競う》としながら、課題の1つはなぜ「蒸しまん」なのか。

 番組が何を狙って「蒸しまん」を選んだのか、なぜ出場者の1人は《カレーまん》を調理したのか──疑問は尽きないが、さすがに時事通信の記事にはそこまでの記述がない。

 元産経新聞ロンドン支局長で、在英国際ジャーナリストの木村正人氏は10月31日、YAHOO!ニュースの個人に「『パンダ饅頭』『インド風カレーまん』は日本のお菓子? 非難殺到の英料理番組に今こそ日本は戦略的広報を」の記事を寄稿した。

 木村氏に取材を依頼すると、まず「ベイクオフ」の“番組フォーマット”に注意を払う必要があるという。

■和食の知識は皆無?

 木村氏が言う。

「番組は基本的に、事前のオーディションを通過した12人の素人が登場します。プロの料理人はいません。毎週、『ケーキ』や『ビスケット』、『チョコレート』といった課題が課せられ、調理と審査の結果、1〜2人が番組を去るのがフォーマットであり、そこから生まれる人間ドラマが人気です」

「10月27日放送分のエピソード6は、テーマが日本食です。参加者を募集します」と事前に告知され、出演者は1回登場して終わりという番組だったなら、和食が得意な素人も登場したかもしれない。

 だが、「ベイクオフ」の場合、エピソード1に12人が登場すれば、後は減っていくだけである。木村氏は「12人全員に“和食”の知識がなかったとしても、全く不思議ではありません」と指摘する。

「『ベイクオフ』は“お化け番組”と言えるほどの人気です。イギリス全土から出演希望者が殺到します。そして出演者の顔ぶれについて、番組側はリアルなイギリス社会を反映させようとしているのでしょう。日本人にとって“イギリス人”と言えば白人をイメージするかもしれませんが、番組にはアフリカ系、カリブ系、イスラム系といった移民の人々も登場します」

(以下略、続きはソースでご確認下さい)


国際 2020年11月4日掲載
https://www.dailyshincho.jp/article/2020/11041131/?all=1&;page=1
https://www.dailyshincho.com/wp-content/uploads/2020/11/2011021429_1-714x476.jpg