タカ番記者コラム「好球筆打」


 ◆ソフトバンク4−3ロッテ(29日、ペイペイドーム)

 2週間ほど前だった。3年ぶりの覇権奪回へ一気にラストスパートという状況の中で「ミスター・オクトーバーを担うのは誰だ?」といったコラムを書いた。

 該当者はもう、一人しか思い浮かばない。ファンも同じ思いだろう。周東だ。29日の試合でも盗塁を決め、12試合連続盗塁のプロ野球記録を打ち立てた。

 あの福本豊氏の記録を46年ぶりに更新したのだから、素晴らしいの一言に尽きる。試合後のヒーローインタビューでは「ふわふわしています」と記録樹立を振り返っていたが、この間に決めた盗塁はいずれも度胸が据わったものだった。

 全14盗塁中、12盗塁が2球以内に成功させたもの。しかも、チームが優勝争いする中、「超」がつくほど警戒されながらも確実に塁を奪ってきた。これは驚きだ。残り2盗塁もいずれも4球目。どれだけ価値ある記録樹立だろう。そんな歴史的瞬間に立ち会えたことに心から感謝したい。さらなる記録更新も楽しみだ。

 さて、肝心の試合は相手守護神益田の“逆転サヨナラ2ラン暴投”という珍しい形での幕切れだった。「まさかの結末だったので興奮しています」。工藤監督も予期せぬゲームセットに、頬を紅潮させていた。

 これで今回のロッテ3連戦はいずれも勝利を収めた。残る直接対決は3試合。全勝すればカード勝ち越しの可能性もあるが、3年ぶりにペナントを奪回した指揮官はそこに重きを置いてはいないだろう。もちろん、カード勝ち越しを収めるに越したことはないが、あくまでも直近の目標はクライマックスシリーズ(CS)を突破することだ。

 だから、準備に取り掛かる。工藤監督は優勝が決定した翌28日の試合から、今季は極度の不振にあえぐバレンティンを先発起用した。28日は指名打者、29日は左翼と試合に出すことで、一発長打を最大の魅力とする助っ人に本来の姿を取り戻させようと必死だ。

 「バッティング(練習)の時はいい形で打てているけど、試合になるとちょっと(スイングが)大きくなってしまうところがある。打者は1本(安打が)出るだけで全然変わるので、出られる試合に関しては(打席の)数が必要かと思う」

 これが一番の“再生法”なのだろう。同感だ。だからこそ、8番ではなく、もっと上位で多く打席に立たせてみては?とも思うのだが、上位打線をいじりたくない気持ちも分かる。10月はこれで29打数1安打。悩ましい問題だ。 (石田泰隆)

10/30(金) 11:55
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20201030-00010005-nishispo-base

https://npb.jp/bis/players/13315133.html
成績