不倫騒動で活動自粛中のお笑いコンビ・アンジャッシュの渡部建(48)が、介護士資格の取得を目指しているとの報道が出た。『女性自身』10月13日発売号によると、渡部は家族や仕事関係者への贖罪の念から、介護福祉士やケアマネジャーといった資格を取得するため勉強中だという。芸能人と介護業界には、どんな関連があるのだろうか。

2009年に覚せい剤取締法違反で逮捕されたタレントの酒井法子が、公判で「介護の仕事を勉強したい」と述べたことは、当時大きな話題になった。活動再開後の現在まで、酒井が介護の仕事に従事した形跡は見られないが、近年もロンドンブーツ1号2号の田村亮、ザブングルら不祥事を起こした芸能人が、「介護の勉強」や「施設でのボランティア」をイメージ回復や芸能活動再開へのステップに利用する流れが相次いでいる。

 そうした流れに、ネット上では一部で「介護を禊(みそぎ)の道具に利用しないで」「こんなキツい仕事をしたから許してってこと?」「介護という仕事を罰ゲーム扱いしている」「介護を舐めるな」と反発が起きている。このような怒りの声の中には、現役介護士を名乗る人間による意見も少なくない。

 ブレイク前まで介護の現場で働き、介護職歴は25年に及ぶというお笑いコンビ・メイプル超合金の安藤なつも、“介護の禊利用”の流れには思うところがあるようだ。10月16日には、こんなツイートをしていた。

〈介護の仕事は好きでやっていましたし、介護の仕事は罰ゲームでも禊でもありません。が、何かのきっかけで現場や現状や楽しさややりがいを知っていただくことはとても素敵だし、もっと興味を持っていただきたいですね〉(※原文は全て半角カタカナ)

 取材経験20年を超える医療・介護ライターの横井かずえ氏は、個人的な考えとして、「(不祥事を起こした芸能人が介護を禊の手段とすることに)違和感はありません」と述べる。

「芸能人で介護資格を持つ人、過去に介護に従事していた人、介護の仕事と芸能活動を両立している人は意外と多いので、個人的には、芸能人が介護現場に入ることに違和感はありません。また、介護業界の抱えるさまざまな問題を解決するには、介護業界を知ってもらうことが第1歩。その意味では芸能人の活動によって、介護に対する世間の関心が高まれば、一定のメリットはあるかもしれません」(横井氏)

 横井氏の指摘通り、例えば“花の82年組”のひとりとして知られる女優・北原佐和子は、まさに介護福祉士やケアマネジャーなどの資格を保持しており、芸能活動と介護の二足のわらじで活動し続けている。また、レクリエーション介護士などの資格を取得し、“介護芸人”として介護情報を発信するお笑いコンビ・レギュラーを「立派だ」と称賛する声は多い。

 芸能人が介護業界と関わることのメリットを冷静に指摘する横井氏だが、その上で、アンジャッシュ渡部についての報道には、こう疑問を投げかける。

「一部報道で『介護福祉士やケアマネジャーなどの資格取得』とありましたが、ケアマネジャーは5年以上の実務経験がなければ、そもそも受験資格が得られません。同様に、介護福祉士も実務経験や養成校での勉強などが必要です。簡単に取れる資格ではないので、そこは誤解がないように、と思います。

 いずれにしても、介護の勉強をしたからといって『禊は済んだ』と見てくれるほど世間は甘くないですよね。渡部さんは色々な資格を持っていて頭のよい方かもしれませんが、机上の勉強だけではなく実務実習にも力を入れるのであれば、より本気度が伝わるのではないでしょうか」

 重要なのは、“本気度”。介護への情熱さえ伝われば、いずれ渡部も世間から受け入れられるのだろう。しかし、活動復帰のためのポーズに過ぎないと判断された場合は、さらに好感度を落とす結果になってしまいそうだ。

https://news.yahoo.co.jp/articles/1eeb3fe12e7e374f3632258c533acb48981ddd0a
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