バレーボールのVリーグは17日、男女の2020〜21年シーズンが開幕する。特別な思いで臨むのが女子日本代表主将の荒木絵里香(36)=トヨタ車体=だ。小学1年生の長女がいる「ママアスリート」で、今夏に予定されていた東京五輪で現役生活を終える選択肢もあったベテランは「やると決めた以上、役割、責任、使命がある。しっかり全うしてやっていきたい」と意気込む。

 新型コロナウイルスの感染拡大による東京五輪の1年延期は、荒木にも大きな影響を与えた。五輪後の現役引退を視野に、今春の長女の小学校入学に合わせ、自宅を所属チームのある愛知県から実家に近い千葉県に移しての新生活が始まろうとしていたからだ。「五輪延期が決まったときは本当にショックだった。家族との生活を含め、準備が大きく狂ってしまった」

 これまで母親や、夫でラグビー元日本代表の四宮洋平さん(41)の協力を得て競技と育児の両立を図ってきたが、長女と過ごす時間が限られ、幼稚園の運動会は一度も行けなかった。「家族とゆっくり過ごしたい」。出場すれば4度目となる五輪を待たず、コートを離れることも脳裏をよぎったが、最後はアスリートとしての使命感が勝った。「東京で五輪ができるのはすごいこと。出場できるチャンスがあるのならメダルを取りたい」。現役続行を決め、トヨタ車体には単身赴任の形で合流することになった。

 五輪イヤーだった今年、銅メダルを獲得した2012年ロンドン五輪以来の代表主将に復帰。18年世界選手権6位、19年ワールドカップ5位と結果の出ない中、中田久美監督が巻き返しの切り札として“白羽の矢”を立てた。「ここまで成果を残して来られず、難しさがあるのが現状。しっかりみんなと束になってチームをつくるため、8年前以上に動いていかないと」。10年世界選手権3位などの実績を重ね、自信と結束を深めて本番に臨んだロンドンでの経験を基に、チームの再構築を思い描く。

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