△柏1―1浦和△(14日・三協F柏)
 柏は前半41分に江坂が先制点。浦和は後半14分、興梠のゴールで追いつき引き分けた。

 浦和のFW興梠にとって忘れられない日になるのではないか。この日達成したJ1歴代5位タイの通算152点は特別な意味がある。というのも自身が2005〜12年に在籍した鹿島時代、4季にわたり一緒にプレーし、尊敬するマルキーニョスに並んだのだから。

 今季自身5点目は1点を追う後半14分に生まれた。CKから攻め立て、最後は右肩で押し込み、「こぼれ球が来て押し込むだけ。しっかり決められて良かった」。

 鹿島では08年途中に定位置を確保し、マルキーニョスと前線で組んで07年からの3連覇に貢献。「マルキ」と親しみを込めて呼ぶ10歳年上のブラジル人FWはシュートやポストプレーがうまく、チームを勝たせられるストライカー。「お手本とする存在で、あの2トップは忘れられないもの」(興梠)だった。

 「マルキを超えたい」と公言してきたが、今季は7月に腰の打撲で戦線を離脱した。普段なら決めているであろうシュートを外すような“らしくない”プレーも。この日も前半に2度の好機を逃し「最近、チームも個人としても出来が悪い。もっとチームに貢献できるように頑張りたい」と言う。

 強烈なシュートというよりは、浮かせたり、軽く触れたりというものが多い。「FWはペナルティーエリアの中でどれだけ仕事をするかが重要。エリア内では遊びが必要。余裕がないと点は決められないし、力んだらダメ」。猫のような動きにも見えるストライカーは、苦しむ中でも遊び心を忘れなかった。

 ゴールへの嗅覚に、相手のマークを外す鋭い動き出しで、昨季までは8年連続で2桁得点。そして「油ものを気にせず、好きなものを食べる」という奔放さ。誰からも愛されるストライカーが、お手本を超える日は近い。【福田智沙】

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