2020年9月16日(水)18時10分
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<内容が過激過ぎるとして「#キャンセルネットフリックス」運動に発展、株価も下落>

ストリーミングサービスのネットフリックス(Netflix)の株価は、物議を醸した映画『キューティーズ!』の公開後、1.3%下落した。

映画祭の受賞作品でもあるフランスの青春映画『キューティーズ!』は、アメリカの観客向けに試写会をおこなった後、未成年の出演者を不適切に性的に扱い、搾取しているとして批判を浴びた。

『キューティーズ!』は、パリに住むセネガル系の少女が、友人たちのダンスグループに加わり、家族の問題から自由になるまでを描いている。この映画では、未成年の俳優たちが露出の多い衣装を身につけ、挑発的に踊るシーンが何度か登場する。

フランスの映画制作者マイモウナ・ドゥクレの監督デビュー作となるこの映画は、『Mignonnes(可愛らしいお嬢さんたち)』のタイトルで8月19日にフランスで公開された際にはそれほど議論にはならなかった。しかし、9月9日にアメリカで配信が始まるとまもなく、ツイッターで「#CancelNetflix(ネットフリックスを解約しよう)」というハッシュタグがトレンドにあがる。

配信翌日には、ネットフリックスの株価は3.9%下落した。

この映画は9月14日現在、アメリカ版ネットフリックスの人気映画ランキングの7位に入っている。

■描写が「過激過ぎる」

子を持つ親や政治家、さらには多くの陰謀論者は、ネットフリックスにこの映画の配信停止を求めている。上院議員のテッド・クルーズとトム・コットンは、この映画は児童ポルノにも等しいとして、司法省に対して独自調査を開始するよう求めた。

クルーズはウィリアム・バー司法長官に宛てた書簡で、こう述べている。「この映画では、未成年の少女たちがたびたびフェティシズムの対象として性的に扱われており、露出の多い衣装を着て性行為を模したダンスを踊り、少なくとも一場面では未成年者が半裸になっている。そうした場面はそれ自体が有害だ」

『キューティーズ!』の監督ドゥクレが監督賞を受賞した2月のサンダンス映画祭では、この映画は猥褻とは見なされなかった。映画評論家やドゥクレは、問題視されている要素について、現代社会における少女たちの性的客体化に対する社会的批評だと擁護している。

フランスの映画組織ユニフランスが9月14日に主催したパネルディスカッションで、ドゥクレはこの映画のアメリカ公開について語り、受け入れられるだろうと思っていたと話した。

「(米ユタ州で開催された)サンダンス映画祭で上映され、アメリカ人も観た。そこで私が会った人たちは、この映画が普遍的な問題を扱ったものだときちんと理解していた」とドゥクレは話した。「フランス社会だけのものではない、ということだ。児童の性的客体化は、ソーシャルメディアを通じて起きており、ソーシャルメディアはどこにでもある。その点はみな同意していた」

「私たちに必要なのは、子どもたちを守ることだ。私の望みは、この問題に関して人々の目を開き、問題を正そうとしてもらうことだ」とドゥクレは続けた。

全米性的搾取センター(NCOSE)などの活動団体は、「#CancelNetflix」というハッシュタグを使ってツイッター上でコメントしている。

NCSOEは、9月11日に発表した声明のなかで次のように述べている。「ソーシャルメディアやインターネットに自由にアクセスできる少女たちが直面するきわめて現実的な脅威を露わにした点では、マイモウナ・ドゥクレ監督を称賛する。しかし、自分の意見を主張するために、幼い女優たちを性の対象とみなし、搾取したことは容認できない」

(翻訳:ガリレオ)