2010年を最後に箱根駅伝出場から遠ざかっている亜大に、復活の切り札として、ケニア出身のパトリック・ムワカ新コーチ(27)が1日、就任した。今年の4月まで実業団の愛三工業に所属していたムワカコーチは5000メートル13分21秒45、1万メートル27分33秒14の自己ベスト記録を持つ。大学駅伝界でケニア出身の指導者としては国士舘大にジェームス・ムワンギコーチ(35)がいるが、まだ、27歳と若く、現役バリバリのムワカコーチは、一緒に走りながら学生のレベルアップをサポートする。

 ムワカコーチは早速、この日から東京・日の出町の亜大グラウンドで学生を指導。「みんなで箱根駅伝に行こう! トゥギャザー!」と日本と英語を交えながら熱く選手に訴えた。学生と一緒に練習を積み、自身もレースに参戦する。今後、山口・防府マラソン(12月20日)の出場を計画している。「目標は2時間10分です」と話す。

 新コーチを招聘(へい)した佐藤信之監督(48)は「ムワカコーチが選手を引っ張ることで、これまで以上にレベルの高い練習ができる。それに一緒に走ることでリズムと感覚が良くなる」と期待を寄せる。

 亜大は2006年の箱根駅伝で初優勝を成し遂げたが、最近は低迷が続く。ハーフマラソンの上位10人の合計タイムで10枠の本戦出場権を争う前回の予選会では22位と苦戦し、10年連続で本戦出場を逃した。ムワカコーチの亜大に対する思いは強い。妻と2人の子供をケニアに残し、選手寮で学生と共に暮らす。「学生のパフォーマンスを上げたい。そのために力になりたい」と力を込める。佐藤監督は「とても真面目な性格なので、生活面でも学生に良い影響を与えてくれる」と絶大な信頼を寄せる。

 10月17日に行われる今回の箱根駅伝予選会に向けて、佐藤監督は「チーム全員で突破を目指します」ときっぱり話す。1999年世界陸上男子マラソン銅メダルで2000年シドニー五輪日本代表と抜群の競技実績を誇る佐藤監督と抜群の走力を持つムワカコーチの指導で、箱根路への返り咲きを目指す。


スポーツ報知 2020.9.1
https://hochi.news/articles/20200901-OHT1T50210.html