https://president.jp/articles/-/38352

2020/08/29 9:00
もう第二のリーチ、五郎丸、松島は出てこない
元主将が語る日本ラグビーの危機 
プレジデント Digital

伊藤 達也
ライター

https://president.jp/articles/-/38352

ラグビー夏合宿の聖地・菅平が危機に瀕している。

ラグビーの“聖地”といえば多くの人は冬の全国高校ラグビー選手権の舞台・大阪の花園ラグビー場と答えるだろう。または、数々の名勝負が記憶に残る東京・秩父宮ラグビー場か。新しいところでは、19年W杯でジャパンが快進撃を見せた横浜・日産スタジアムも加わるかもしれない。

しかし、連日の酷暑に見舞われるなか、少なからぬラグビー経験者・ファンは、夏の長野・菅平高原を聖地に思い浮かべる人も多いはずだ。



あのラグビー選手たちを育てた菅平に人がいない

長野県上田市北部の菅平高原には毎夏、小学生のラグビースクールから、高校、大学、トップリーグのチームまで、全国から年代・カテゴリーを問わず合宿、練習試合を行うために集まる。そのチーム数は800以上、100面を超えるグラウンドでは、夏の間、朝から日が暮れるまで常にどこかで試合とハードな練習が行われている。
標高1500メートルほどの準高地ゆえのトレーニング環境のよさに加え、練習試合の対戦相手に困らないことが全国からチームが集まる要因になっている。ラグビーW杯で日本中を熱狂させたマイケル・リーチや、フランスプロリーグに挑戦中の松島幸太郎、ゴールキックで人気者になった五郎丸歩や、「ノーサイドゲーム」で俳優デビューも果たした廣瀬俊朗などもこの地で合宿を経験し世界に羽ばたいていった。





ラグビーショップも閉店中だ

菅平では例年夏の期間は、町を歩けば短パン姿のラグビー部員と鉢合わせる。ラグビー用品を販売するショップや限定Tシャツを販売店も開店する。メインストリートに構えるセブン-イレブンには夕食後の時間になると大男たちが大挙して押し寄せる。そのため、品ぞろえもプロテインが山と積まれ、業務用冷凍庫には予約制の氷がぎっちり。肌着のサイズもLLからがメインだ。昨年のW杯の盛り上がりを受け、今年はファンも多く訪れるはずだった。

しかし、今年の菅平には、風物詩のはずの大柄の選手たちの姿はない。ラグビーショップは開店せず、お土産用のTシャツも買えない。新型コロナウイルスの影響が、菅平を直撃したのだ。


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