0001征夷大将軍 ★
2020/08/21(金) 11:29:49.20ID:CAP_USER9多い年には3万人以上動員する早慶戦が唯一、上限いっぱいの観衆3000人。しかし、「完全」と言えない形であっても、リーグ戦を成立させたことに意義がある。春のリーグ戦を開催したのは、全国の大学野球26連盟で東京六大学が唯一だったからだ。
未曾有の感染症が拡大した4月以降、多くのスポーツと同じように各地の連盟が次々に春のリーグ戦の中止を発表。各連盟の優勝校が出場する春の日本一決定戦、全日本大学選手権も開催を断念した。ただ、東京六大学は中止という判断をせず、開催を求めて可能性を探った。一度は5〜6月にかけての実施を目指したが、緊急事態宣言下にあり、さらに延期。最後は開催方式を大幅に変更してでも、8月の“真夏の春”にこぎつけた。
9日間で15試合延べ3万100人が観戦した熱戦。この日、トリとなる試合を戦った早大・小宮山悟監督は言う。
「我々の連盟には天皇杯があり、これを下賜されていることで各校ともアマチュアスポーツ、大学野球の代表のつもりで戦わなければならない。3月の理事会で世の中が大変なことに状況になりそうだとなっても、なんとか開催できる方法を見つけて頑張ろうと、6校の思いは一緒だった。その中で無事に開催し、今日閉幕した。全国の大学野球連盟に対してなんとかやれた、秋に向けてみんなで頑張りましょうというメッセージになったと思う」
プロ野球より長く、100年近い歴史を持つ東京六大学。野球において天皇杯が下賜された権威ある連盟は、大学野球界を牽引する存在だった。だからこそ、その東京六大学が諦めてしまえば、他の25連盟が秋に開催を目指すことも難しくなる。その意味で無事に開催し、モデルケースを作った価値は大きい。何より選手たちが「野球をできる喜びを感じた」と口を揃え、グラウンド上で好ゲームを連日展開したことが喜ばしいことだった。
もちろん、選手もファンも安全を守る仕組みは徹底した。入場者はすべてサーモグラフィー、非接触による検温を実施。観戦にはマスクを着用し、客席も2メートル(最低1メートル)離れて着席するよう呼びかけた。アルコール類の販売も行わず、大声を出しての声援も自粛を求めた。報道陣も同様に検温を実施。試合後は監督と指名選手1人のみが出席し、マスク着用で会見する方式を取るなど、そこかしこに対策のあとが見られた。
東京六大学野球連盟の内藤雅之事務局長によると、9日間の開催で熱があり、チケット払い戻しで入場を断った観客は3人、熱中症で救急搬送された観客は2人。想定していたよりも少なかったことだけに関していえば「その意味では成功だった」(内藤事務局長)。
リーグ戦には社会人野球、ソフトボールのほか、他の大学野球連盟関係者が複数視察したと内藤事務局長は明かす。
「これだけ暑い中で、感染対策もしっかりとした6校の協力を得て、無事に終えたことを心からうれしく思う。今、有観客でやっているのはプロ野球とJリーグと大相撲くらい。それ以外にアマ野球関係ではほとんどない。他の連盟の一部の監督からは『春にリーグ戦をやったのは東京六大学だけなので、秋のリーグ戦を自分たちで開催する上でありがたかった』という言葉を頂いた。我々としても今回、やって良かったと思っている」
他の25連盟にもたらした希望。3季ぶり史上最多46度目の優勝を飾った法大・青木久典監督は実感を込め、リーグ戦を振り返る。
「今回のリーグ戦には格別な思いがあった。我々だけではできなかった大会。この状況下でも連盟、マスコミ、関係各位の協力、支援を頂き、観客の皆さんも多くの方に見に来ていただいた。そのおかげでできたことだと思う。東京六大学には歴史がある。優勝できたのは本当にありがたいことだし、我々が優勝できたことが各連盟にも一つの希望ではないが、秋につながっていくんじゃないか。そういう意味で大変、重みのある大会だった」
4年生にとっては学生生活ラストシーズンとなる秋。その多くがこのリーグ戦をもって本格的な競技に終止符を打つ。できない理由ではなく、できる方法を求めて――。東京六大学が真夏の9日間で灯した“春の火”が、まもなく訪れる秋、全国の大学野球に広がることを願う。
(文字数の関係で一部抜粋)
フルカウント 2020.8.20
https://full-count.jp/2020/08/20/post868560/2/