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2020年8月14日

8月15日に戦後75年を迎える日本。戦争経験者も少なくなり、今後、戦争を描いた映画の果たす役割はより大きくなっていくだろう。9月11日にはローランド・エメリッヒ監督の『ミッドウェイ』も公開されるが、戦争映画を鑑賞する際には、一方向だけの視点にとらわれないようにしたい。第二次世界大戦を題材にした映画は数多くあるが、特に名作と名高い作品と話題作10本をピックアップする。(文・磯部正和)

■『戦場にかける橋』(1957)
巨匠デヴィッド・リーン監督が、第二次世界大戦下のビルマとタイの国境近くにあった捕虜収容所を舞台に、日本軍の斉藤大佐(早川雪洲)、イギリス軍のニコルソン大佐(アレック・ギネス)、アメリカ軍のシアーズ中佐(ウィリアム・ホールデン)らの対立や交流を描いた物語。戦争映画ではあるが、激しい戦闘シーンはない。しかし、登場人物の考え方や人間としてのプライド、そしてポップな「クワイ河マーチ」からの衝撃的なラストは何度観ても、戦争やそれを引き起こす人間の愚かさを痛烈に表現している、圧倒的な反戦映画だ。
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■『シンドラーのリスト』(1993)
第二次世界大戦下、ナチス・ドイツ軍のユダヤ人大量虐殺から多くの命を救った実在するドイツ人実業家オスカー・シンドラーの生涯を、スティーヴン・スピルバーグ監督が描いた作品。ホロコーストを描いた作品は数々あるが、多くのユダヤ人を救った人の話であるにもかかわらず、非常にシビアな後味を残す。それはシンドラーが、ことの顛末のあと発した「もっと救えたかもしれない」という言葉。1,200人を救ったことは偉業だが、そのことは救われなかった人々を浮かび上がらせる。これだけのことをした人でも、後悔の念にさいなまれる戦争の惨さを痛感させられる作品だ。本作は、スピルバーグ監督にとって、初めてアカデミー賞監督賞を受賞した作品となった。

■『ライフ・イズ・ビューティフル』(1998)
 ロベルト・ベニーニが監督、脚本、主演を務めたヒューマンスドラマ。ユダヤ系イタリア人のグイド(ロベルト・ベニーニ)は、愛すべき妻と息子と共に、ナチス・ドイツ軍の強制収監所に連行されてしまう。悲惨な未来が待ち受けるなか、グイドは息子ジョズエに、作品タイトル通り「人生は美しい」ことを豊かな想像力を駆使し、ユーモアを交えて伝える。グイドが息子に話す言葉や行動は、すべてが嘘である。子どものころから、嘘をついてはいけないと教えられてきたが、ついてもいい嘘があるんだと感じさせてくれる。悲劇を喜劇で伝えた本作も、戦争の残酷さをよく伝えてくれている。

■『プライベート・ライアン』(1998)
第二次世界大戦中に、ある一人の兵士を戦場から救い出せという軍の命令に、さまざまな葛藤を持ちながらも任務を遂行した兵士たちを描いたスティーヴン・スピルバーグ監督の作品。本作で軍から救出命令を下されたライアン二等兵(マット・デイモン)は、3人の兄をすべて戦争で亡くし、お家存続のために帰国を命じられる。最初にこの作品を観たとき、実際にあったアメリカの政策だと知って驚いた記憶がある。なにより衝撃的だったのが、冒頭から続くノルマンディ上陸の戦闘シーンの描写。そこから本作は数々の死が描かれており、非常にしんどい映画だ。

■『パール・ハーバー』(2001)解説中略
■『戦場のピアニスト』(2002)
■『ヒトラー 〜最期の12日間〜』(2004)
■『縞模様のパジャマの少年』(2008)
■『フューリー』(2014)
■『ダンケルク』(2017)

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