残念なことに、少年野球のヤジは日本独特だ。

アメリカやドミニカ共和国などの少年野球では、指導者は常にポジティブな声をかける。
小さな子どもどもがバットを振って空振りしたら「ナイスファイト!」。
ボテボテのゴロが転がったら「そうだ、その調子だ」。
運動に自信のないわが子が思いもかけず指導者に褒められて、思わず涙ぐむ母親もいる。
当然ながら、試合でも味方にポジティブな声をかけるだけだ。
アメリカやドミニカ共和国では勝利ではなく、子どもたちが「野球を好きになる」ことを主目的に指導を行っている。
ネガティブな声かけはあり得ないのだ。

ある日本の指導者が、海外遠征で「お前の国はマフィアが子どもたちに
野球を教えているんだろ」と言われてショックを受けたという話もある。

こうした日本独特の野球文化の背景には、日本のアマチュア野球の大会が
ほとんど「一戦必勝」のトーナメントで、負ければ後がないことも大きい。

中にはヤジで相手のメンタルにダメージを与えてでも勝とうという指導者もいるのだ。
「行き過ぎた勝利至上主義」が、心ない罵声怒声の温床になっている。
反対に言えば、指導者もそこまで追い込まれてしまうのだ。