なぜ高校野球だけは特別なのか?

今夏の高校野球選手権大会の代替大会が始まった。各地で無観客での試合が行われている。

「夏の甲子園」の中止が決まる過程で、「高校野球は特別なのか?」という声が上がった。

全国高等学校体育連盟(高体連)は、インターハイ(全国高等学校総合体育大会)の中止を4月28日に決定したのに、高校野球だけは3週間以上も遅れて、5月20日にようやく夏の甲子園の中止を発表したことが原因だった。

「高体連と高野連は、別の組織なんだから、中止決定の時期が違うのは仕方がない」という人がいる一方で、「同じ高校のスポーツ部活で、状況は何ら変わらないのだから、歩調を合わせるべきだ。高校野球側が『自分たちは特別だ』と思っているから、ここまで遅れたんじゃないか」という人も多かったのだ。

甲子園を神聖視するのは外部の人
「“高校野球は特別”なんて言っているのは、外部の人たちだ。我々は、特別だとも何とも思っていない」ある有名高校の指導者は迷惑そうに言った。

一例をあげれば、昨夏の甲子園の優勝校、大阪、履正社高校の岡田龍生監督は、硬式野球部監督であるとともに、体育科教師、さらに強化クラブ部部長、生活指導部参事なども兼任している。「高校の先生」としての日常もあるのだ。こうした指導者にとっては「特別」といわれるのは心外だろう。

一方で、教員免許を持たず、野球部顧問の肩書しか持たない専任監督の多くは、学校の運営とはあまり関係なく指導を行っている。彼らにとって硬式野球部は他の部活とは異なる「特別」なものではあろう。

つづく

7月26日 現代ビジネス
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/74354