新型コロナウイルス対策が最大の課題とされる東京五輪で、政府などが選手、関係者を含め約28万人にも及ぶ大規模なPCR検査の実施を想定していることが22日、分かった。

政府、東京都、五輪組織委は、この秋からコロナ封じを本格化させていく構え。参加各国・地域とも連携を取りながら、感染リスクの排除に力を注いでいく。

 東京五輪の最大の障壁である新型コロナウイルスを封じ込めるため、感染対策が今後本格化する。重要な一手となるのが、ウイルス保有者を見極めるPCR検査だ。複数の関係者によれば、政府や五輪組織委、都などとも連携して、大規模かつ徹底的な検査を行うシミュレーションを水面下で開始。現時点で、その対象は実に約28万人にも及ぶことが分かった。

 対象となるのは大会運営に絶対的に必要な人員だ。約1万1000人いる選手をはじめとし、ボランティアだけでも12万人以上。組織委は公表されている数値から、「全体として変更も十分あり得る」としており、流動的な部分も含め28万人を想定しているもようだ。

「海外から入国する選手、コーチらは海外でPCRを済ませて、陰性の証明書を持って入国してくるしかないだろう。検査の実施は絶対条件。水際できっちり食い止めないといけない」と、大会関係者。日本国内で一斉に対応するのは実質不可能なため、海外勢には自国での検査を義務づける必要があるとみられる。

 政府、東京都、組織委の3者は、合同の会議体をつくり、この秋からコロナ対策の議論を深めていく予定だ。プロ野球やJリーグなどの動向も踏まえながら、最適解を探していく。世界中から人が集まるメガイベントだけに、各国の政府や五輪委員会(NOC)、国際競技団体(IF)の協力も不可欠になる。

 あるIF関係者は、「各国選手団がPCR検査で水際対策をして来日した上で、事前キャンプを張る各地域で2週間隔離し、その後で選手村に入っていくのが理想。

選手村でクラスター(集団感染)が起きると手の打ちようがない」と話す。選手村内での定期的なPCR検査や、村外への外出禁止案も浮上。アスリートに不自由を強いるとはいえ、二重、三重の感染対策は必須条件だ。

 これに加え、五輪では780万人の観客が見込まれている。IOCは観客削減も検討課題に挙げるものの、無観客とならない限りは相当数の観客が集結する。携帯アプリで行動をモニタリングするなどのアイデアはあるが、抜本的な対策を策定するのは容易ではない。安心・安全を担保するために「気の遠くなる作業がたくさんある」と、大会関係者は厳しい見通しを口にしている。

 ◆PCR検査 PCRはポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction)の略。ポリメラーゼはDNAやRNAというウイルスの遺伝子を構成する一部のこと。新型コロナの患者はのどや痰(たん)の中にウイルスが存在するため、のどを拭ったり痰を採取して、検体の中のウイルスの有無を調べる。ウイルスの遺伝子が少数でも検出できるため、感染症検査の中では比較的検出力が高いとされる。肺結核の診断などでも使われる。

7/23(木) 6:00 スポーツ報知
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