『テラスハウス』(フジテレビ系/Netflix)に出演していたプロレスラー・木村花さん(享年22)が、SNSでの誹謗中傷を受けて自ら命を絶った。花さんが追い詰められた背景には『テラハ』制作側による出演者への過剰な演出、強要があったとの報道を受け、フジテレビは社内調査を実施。その結果、7月3日の定例会見で「出演者へのお願いや提案はあったものの、感情表現を捻じ曲げるような指示は出していないということでございます」と、“ヤラセ”疑惑を完全否定した。

 フジの公式見解について、民放関係者は事情をこう明かす。

「確かに、社内調査では局員が“ヤラセ”を否定していましたが、そもそも『テラハ』の制作の大部分を請け負っているのは、外部の制作会社とそのスタッフです。泊まり込みも多い撮影なので、フジの社員は現場に行かない日もあると聞きます。なので、社内の関係者に聞き取りをしたところで、真相はわからないはずです」

『テラハ』は今後、放送に関する倫理や問題を検証するBPOの案件になる可能性もあるという。

「フジが第三者委員会を立ち上げず、社内調査だけで済ませたことをBPO関係者は問題視しています。亡くなった木村さんの母・響子さんや、出演者の小林快さんからも過剰な演出を暴露されていますし、世論の批判も高まる中で、BPOの審議対象になるのも時間の問題でしょう」(民放関係者)

『テラハ』は、以前から問題の多い番組だった。『週刊文春』(文芸春秋)は2014年、当時出演していたグラビアアイドルの筧美和子が、スタッフから「バスト鷲掴み」などのセクハラ行為を受けていたことを伝えた。さらに2015年には、出演者で元タレントの松川佑依子が、セクハラ被害と“ヤラセ”を示唆する告白をした末に芸能界を引退している。

『テラハ』の問題体質は、なぜここまで野放しになっていたのだろうか。

「2012年にスタートした『テラハ』は、視聴率が良かったことや、トヨタが大スポンサーとして資金を投入していたこともあって、フジとしてもスタッフの問題行動を見て見ぬ振りをしていたんです。その結果、制作会社の社員が完全に現場を仕切って、フジの社員も口出しできない状況が作り出されてきました。もちろん、フジの管理責任も厳しく問われることですが、外注のスタッフが暴走してもフジは止める手立てがなかったというのが実情なのでしょう」(前出の民放関係者)

 しかし、横柄なスタッフを野放しにしたツケは、出演者へ回ってしまっていた。

「『テラハ』には、名前を売って大成したい若い出演者しかいません。純粋に恋愛がしたくて番組に出る人間なんて皆無です。スタッフは、そんな出演者たちを見下しているところもあったと思います。中には、『お前らの代わりなんていくらでもいるから』と日常的に恫喝されていた出演者もいたようです」(同)

 さらに、とある人気番組がきっかけとなり、『テラハ』の“過剰演出”が常態化していったという。

「『水曜日のダウンタウン』(TBS系)で、安田大サーカスのクロちゃんが参加したパロディ企画『モンスターハウス』が、『本家より面白い』と人気になりました。あれが『テラハ』の制作陣に火をつけてしまったんです。『モンスター』で大人気だったクロちゃんの鬼畜っぷりに負けてはいられないと、本家の演出もどんどん過激化。しかも、2015年からはNetflixでの配信がメインで地上波放送はオマケ程度になったので、よりエスカレートしていきました」(同)

 パロディの『モンスターハウス』の方がよっぽど健全だったなんていうオチは、到底笑えるものではない。今年度は赤字も噂されるフジテレビはネットに活路を見出していくようだが、こんなお粗末な番組しか作れないようでは、未来はないと言えるだろう。

2020/07/14 09:00 サイゾー
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