降り注いでくる拍手を聞きながら、ファジアーノ岡山の北川真也代表取締役社長は「鳥肌が立ちました」と明かした。試合後に特別に設けられたオンライン会見の、冒頭におけるひとコマだった。

「試合前のウォーミングアップが始まるときに拍手が起きて、選手たちは私以上に感情をかみしめたと思っています。普段はどれだけありがたい環境で試合ができているのか、を実感しました」

 拍手を送ったのはスタンドから見守るファジアーノのファン・サポーターだった。ホームのシティライトスタジアムでギラヴァンツ北九州に0−2で屈した10日の明治安田生命J2リーグ第4節。土日に先駆けて行われた唯一の試合は、先月27日から無観客試合改めリモートマッチで再開したJリーグが、ファン・サポーターの入場解禁へ初めて移行した一戦として大きな注目を集めた。北川社長が続ける。

「開催にあたって多くの方々に力をいただきました。岡山市の保健所の方もスタジアムや練習場に来ていただき、送っていただいたいろいろなアドバイスのもとで試合運営ができたことを、この場を借りて感謝を申し上げます。いまのところ大きなトラブルはなかった、と聞いています。まずは(有観客試合を)スタートすることができて、そして無事に終われたことに少しホッとしています」

 Jリーグは政府が5月下旬に定めた「イベント開催制限の段階的緩和の目安」に沿って、新型コロナウイルスによる長期中断からリモートマッチでのJ1・J2の再開およびJ3の開幕へ、そして強い入場制限が課された10日からの「超厳戒態勢時」へ段階を踏んで状況を移行させてきた。

 観客数の目安は5000人か、あるいはスタジアム収容人員の50%のうち、人数が少ない方を上限して選択する。シティライトスタジアムの入場可能数は1万5479人。ゆえに前者が上限となるなかで、ファジアーノは3500人から最大4000人を迎え入れる準備を進めてきた。

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