そもそもこのコロナ禍に100名近い社員を地下のイベントブースに“密”に集めて、「何をやっているんだ」と呆れる社員も多かったという。

「ただ、今回の件で大澤さんが解任になっとこと、そしてそれを大澤氏を可愛がっていたミキ社長自らが朝礼で明言し、謝罪したことは会社にとっては大きな前進ですね。大澤氏の役員解任は一時的なことではないかと社員はみな訝しがっていましたが、大澤さんが社長を務めていたワタナベエンタの関連会社『YESMAN』の社長も6月16日付けで解任になっていました。代わりにYESMANの社長なったのは、吉田正樹会長です。これで大澤さんの居場所はワタナベエンタにはなくなった。大澤さんのハラスメントに悩まされていた多くの社員にとっては、安堵すべきことでした」(同前)

告発直前、A氏や家族に電話で脅すようなことも
 大澤氏によるセクハラ事件の被害者、A氏はこの朝礼での幹部の発言を聞いて、少し安心したような表情でこう話した。

「実は記事が出る前日も、前々日も大澤さんから1日100件以上、電話の着信がありました。僕の家族にもガンガン電話していて、脅すようなことも言われたようで、とても怖かった。ですが、記事が出てから連絡はピタリと止まりました。

調査委員会はA氏に対しては連絡ナシ
 だが、納得のいかないところもあるという。

「僕のところには調査委員会の人からは連絡は一切ありませんでした。事務所はセクハラが合意の上だったと捉えているみたいですが、僕は本当に、彼のことが好きではありませんでしたし、裸の写真を撮られ、仕事中にトイレで性的な行為をされるのも、本当にイヤだった。会長が言ったという『不適切な関係は存在しない』という結論が罷り通るのは、許せないし、意味がわかりません」

 これまでスキャンダル対応など会社の“汚れ仕事”を渡辺ミキ社長に代わって一手に担ってきた大澤氏。ワタナベエンタの組織図によると「第1マネージメント本部」「広報PR室」「イベント事業部」など7部署のトップとして君臨し、渡辺ミキ社長に次ぐ、実質“ナンバー2”の実権を握っていたことがわかる。

 現場では後輩社員や所属タレントへのパワハラ行為は後を絶たなかった。

「頭ごなしに『バカ、クズ』『使えねえな』などと人格を否定するような罵声が飛んだり、不当に給料を下げられたり、経費が落ちないなどのトラブルは日常的にありました。が、一番の問題は辞めたくても辞めさせてもらえないことです。女性社員には『結婚して辞めるとか言わないでね』などと平気で言うし、転職しようとすると『同じマスコミ業界内で転職するなら、最低1年は会社で働かないといけないのが業界のルールだから』などと言われるのです。私も辞める相談をしたら希望していないマネジャー業に配置換えされ、1年以上辞めさせてもらえなかった」(ワタナベエンタ元社員)

 退社に際して大澤氏が起こしたトラブルは社員との間だけではない。これまで複数の所属タレントが、退所の際に大澤氏から不当な要求を突きつけられたという。

つづく