2020.7.10 05:03SANSPO.COM(サンスポ)
俺たちはコロナ禍でも負けない!渡辺謙、佐藤浩市が『Fukushima50』カムバック上映舞台あいさつ
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公開から4カ月。佐藤(右)と渡辺は再び観客の前に立てる喜びを噛みしめた=東京・有楽町(撮影・飯田英男)
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 俳優、佐藤浩市(59)と渡辺謙(60)が9日、東京・丸の内ピカデリーで行われた映画「Fukushima50」(若松節朗監督)のカムバック上映舞台あいさつに出席した。公開翌日の3月7日に同所で予定していた舞台あいさつが新型コロナウイルスの影響で中止されたが、4カ月ぶりに“カムバック”。佐藤は題材の福島原発事故とコロナ禍を重ね「人災にしないために一人一人が考えながら日常を生きることが求められている」と訴えた。

 東日本大震災による福島第1原発事故の現場で奮闘する作業員を熱演した佐藤と渡辺が、“見えない敵”のコロナ禍を生きる勇気を発信した。

 映画「Fukushima50」は3月6日に公開され、週末興行ランキングで2週連続1位と好スタートを切ったが、その後、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言で全国の映画館が休館に。4月17日〜5月14日の有料ストリーミング配信を経て同15日から再公開。興収はコロナ禍でも8・2億円を記録している。

 公開翌日の3月7日に丸の内ピカデリーでの舞台あいさつが中止になり、都内で行うのはこの日が初めて。原発1・2号機の当直長、伊崎を演じた主演の佐藤は「こうしてお客さまの前に立てることが不思議」と複雑な胸中を明かした。

 一方、渡辺は3月7日に同所で取材対応後、コロナ禍でも鑑賞に訪れた十数人の観客に胸を打たれ、佐藤と“即席舞台あいさつ”を行ったことを告白。「『いつかこういう日を、また迎えられるといいよね』と思っていたのが今日でした。この映画にとって新しい1ページになる」と胸を張った。

 この日は、渡辺が演じた第1原発所長で2013年に死去した吉田昌郎さんの命日。渡辺は「災害が起きたときに何が大事か。現場の声なんです。この日にもう一度、現場を大事にした吉田所長を映画で感じていただければ、吉田さんも喜んでくれるのでは」と天国に思いをはせた。

 佐藤は原発事故とコロナ禍の現状を重ね合わせて「人が何をできるのか、その方向をちょっとでも間違えると取り返しがつかなくなる。映画で語りたいことと今の状況は一緒」と力説。「(コロナ禍を)人災にしないために一人一人が考えながら日常を生きることが求められている。これからどのように生きていくのかを考えるためにも、この映画を見てほしい」と呼びかけた。

(おわり)