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2020年6月30日 5時0分スポーツ報知

巨人の会田有志3軍投手コーチ(36)が人命救助していたことが29日、分かった。都営新宿線の馬喰横山駅(東京・中央区)構内エスカレーターで、10段近く転げ落ちて意識不明だった男性を発見。自動体外式除細動器(AED)を正しく使って救った。男性は回復しているという。

28日午後8時過ぎ。ジャイアンツ球場の3軍練習から帰宅途中、中高年の男性が顔面血だらけであおむけに倒れていた。集まった多くの人をかき分け、会田コーチは「誰か119番通報してください! AEDを持ってきてください」と周りに呼びかけ、自ら胸骨圧迫による心肺蘇生法を始めた。

AEDが届くと電気ショックを1回行い、胸骨圧迫を継続。死戦期呼吸という命の危機的状況だったが、男性のまぶたが動いた。大声で名前をたずねると男性は名前を答え、到着した救急隊に搬送された。

会田コーチは07年に巨人で34登板3勝。父は元ヤクルト投手の会田照夫氏で、親子で1軍登板、1軍勝利は史上初だった。アスリートのリハビリを専門とする日本スポーツ協会公認の超難関資格「アスレティックトレーナー」(AT)受験を球団に勧められ09年に引退。翌年から巨人2軍トレーニングコーチ補佐に就任した。コーチ業と両立して解剖学、医学、栄養学、心肺蘇生法、法律など専門科目を猛勉強した。AT筆記試験は年1回しか受験できず合格率10%前後。3度の不合格を経て16年に4度目の正直で合格した。元プロ野球選手では初の快挙だった。

今回は豊富な知識をもとに人命救助の“好救援”。「男性が回復して本当に良かったです。球団の医療スタッフと一緒に毎年、国際武道大の先生から心肺蘇生法の講習を受けていたため、冷静に対応できました。09年に一緒に現役引退してコーチに就任した木村拓也さんが翌年、グラウンドで倒れて(くも膜下出血で)亡くなり、選手たちの命を守りたいという意識を強く持つようになりました。普段からの意識、準備が役に立ちうれしいです」と話した。

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