人種差別問題で揺れ動く米国で、「駅馬車」や「リオ・ブラボー」などに主演したかつての名優ジョン・ウェイン(1979年に72歳で死去)にも、銅像や名前の排除につながる動きが出てきた。

 故ウェイン氏が住んでいたカリフォルニア州オレンジ郡の民主党議員が地元にある「ジョン・ウェイン空港」をもともとの名前だった「オレンジ郡空港」に戻すことと、空港内にある同氏の銅像を撤去するように求めているもので、黒人差別につながる発言や政策を行った過去の大統領などと同じ扱い。ウェイン氏は1971年、プレイボーイ誌のインタビューの中で「黒人が責任感を持てるように教育されるまで白人優位社会であるべきだと信じている」と語り、奴隷制度についても「このような人たちがいたことに対する罪悪感はない」と持論を述べていた。

 またネイティブ・アメリカンについても「国を奪い取ったのではなく生き残るためにやったことにすぎない。多くの人たちがこの国にやってきたとき、彼らは自分たちのことにこだわりすぎていた」とコメント。この半世紀も前の発言が問題視されて、一連の差別撤廃運動の中に巻き込まれる形となった。

 カリフォルニア州のサンタアナ、アーバイン、コスタメサ、ニューポートビーチに隣接する「ジョン・ウェイン空港」は1923年に完成。1979年にオレンジ郡がニューポートビーチ在住だったウェイン氏を称えて名称を変更していた。今年の1月26日にはここからヘリで飛び立ったNBA元レイカーズのコービー・ブライアント氏(享年41)ら9人が墜落事故で死亡。現在の空港は1990年に建設されたもので、1階が到着ロビー、2階が出発ロビーとなっている。

2020年06月29日 16:59社会
https://www.sponichi.co.jp/society/news/2020/06/29/kiji/20200629s00042000280000c.html
https://www.sponichi.co.jp/society/news/2020/06/29/jpeg/20200629s00042000272000p_view.jpg
https://www.sponichi.co.jp/society/news/2020/06/29/jpeg/20200629s00042000273000p_view.jpg