東京・神田の古いビルの2階。そこには夜な夜な紳士淑女が集まり、うんちくを披露しあう歌謡曲バーがあるという。今宵も有線から、あの名曲が流れてきた。

お客さん:お、このイントロは松本伊代の『センチメンタル・ジャーニー』、この頼りない歌声が逆にいいんだよねえ。

マスター:伊代ちゃんといえば、1981年『たのきん全力投球!』(TBS系)で、田原俊彦の妹役としてデビュー。そこから、ロッテ、大塚食品、牛乳石鹸など大手のCMに次々と起用されて、その年の10月、ついに満を持してのレコードデビューだ!

お客さん:すでに知名度は十分だったよね。とはいえ、歌詞に名前と年齢が入っていたのはインパクトあったなあ。

マスター:作詞した湯川れい子から歌詞が届いたときは、伊代ちゃん自身もびっくりしたそうだよ。

お客さん:だろうね! でも天真爛漫な伊代ちゃんにはすごく合っていたと思う。

マスター:余談だけど、当時のアイドルには必ずキャッチフレーズがついていた。伊代ちゃんは「瞳そらすな僕の妹」。トシちゃんの妹役で、実際に松本家の次女だったのかな。

お客さん:なるほどね、他には?

マスター:有名なところでは中森明菜の「ちょっとエッチな美新人娘」。

お客さん:「美新人娘」とかいて「ミルキーっこ」と読む。

マスター:もっとあるよー。松田聖子は「抱きしめたい!ミス・ソニー」、小泉今日子は「微笑少女」、石川秀美は「さわやか天使」。

お客さん:王道って感じだね!

マスター:ポエム風のキャッチフレーズも多かった。たとえば、薬師丸ひろ子は「ひろ子という字何度ノートに書いたっけ」、長山洋子は「僕の青春(とき)をとめる、少女がいた」、そしてご存知この方、「井森美幸16歳、まだ誰のものでもありません」。

お客さん:本人がいまもネタにしてるもんね、「いまだに誰のものでもない」って。

マスター:なかにはそんなのあり? というキャッチフレーズもある。柏原よしえの「ちょっと大物」、網浜直子の「ちょっと変な女の子」、桑田靖子は「クラスで5番目に可愛い女の子」。そして、本田美奈子の「好きといいなさい!」。

お客さん:女王様か!

 おっ、次の曲は……。

6/28(日) 16:32配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/2dfae246cbd536604a0cc7e0a0d76e88347c4c7a
https://i.imgur.com/c6bGv0k.jpg