6/18(木) 6:00配信 毎日新聞
https://news.yahoo.co.jp/articles/f3df4f8ae7558dbb6fc1b2a0a3aa4d72997f3ebb
https://cdn.mainichi.jp/vol1/2020/06/17/20200617k0000m050297000p/8.jpg

 新型コロナウイルスの影響で2020年夏の全国高校野球選手権は中止になったが、近年の夏の甲子園大会で目立つのが東北勢の活躍だ。08〜19年の12年連続で8強入りし、11、12年の光星学院(現八戸学院光星、青森)、15年の仙台育英(宮城)、18年の金足農(秋田)と準優勝4回を数える。かつては北国のハンディを指摘された東北勢が、夏に安定した成績を残せるようになった要因とは。

 福島・聖光学院は19年夏の全国選手権で戦後最長出場記録を13年連続に更新した。福島県出身の斎藤智也監督(57)が「東北勢の底上げに大きく寄与していると思う」と話すのが、出場機会の少ない1、2年生に経験を積ませる「みちのくフレッシュBリーグ」の存在だ。盛岡大付、一関学院(いずれも岩手)、日大山形、東海大山形、聖和学園(宮城)を含めた6チームが4〜7月にリーグ戦を行う。聖光学院の呼びかけで始まり、既に10年以上が経過した。新型コロナの感染拡大で今年は行われていないが、斎藤監督は「活躍次第で主力のAチームに昇格できる。選手のやる気も上がる」と効果を口にする。

 1999年に就任した斎藤監督は01年夏にチームを甲子園初出場に導き、08、10、14、16年夏と13年春のセンバツの計5回、8強入りした。夏16回、春5回の出場で23勝(夏19勝、春4勝)を挙げた。全国選手権とセンバツを合わせた都道府県別勝利数で福島県は42位の45勝で、その半分以上を聖光学院が積み上げた。チーム作りで対話を重視する斎藤監督は「地元だけでなく、県外からも選手が来てくれるようになった。ただうまいだけでは下級生からレギュラーになれない。チームのために何ができるか。3年かけて指導し、心の成長を待つ。それが連続出場につながっているのかな」と語る。

 みちのくフレッシュBリーグに参加している盛岡大付の関口清治監督(43)は08年に就任した。現役時代は捕手として、チーム初の甲子園となった95年夏の選手権出場に貢献した。監督としては、チーム春夏通算10回目の出場だった13年春のセンバツで甲子園初勝利をつかむと、17年は春夏連続8強入りした。

 花巻東の菊池雄星(現米大リーグ・マリナーズ)、大谷翔平(同エンゼルス)ら好投手が同じ県内にいたこともあり、打撃をとことん磨いた。2カ月ほど速球対策に取り組むという。バットの芯で捉えることを覚えるため、芯を外すと手がしびれる竹バットを使う。マウンドの約6・5メートル手前から投げてもらった球を打ち込み、直後にケージ裏でベンチプレスを上げて筋力も鍛える。今では強打がチームの看板になった。

 さらに関口監督が「大きな自信になった」と振り返るのが、14年夏の甲子園の初戦で東海大相模(神奈川)を破ったことだ。「優勝経験校に勝ったことで、良い意味で甲子園に慣れてきた」と言う。

 また日大山形が13年夏に県勢初の選手権4強入りを果しており、県を超えた取り組みは確実に甲子園で実を結んでいる。【上鵜瀬浄】