2020.5.15

 阪急阪神ホールディングス(HD)の株主総会に異変の予感。開催が予定される6月17日はまだプロ野球が開幕していないため、傘下のタイガースをこよなく愛する株主のボルテージが今回は控えめになりそうなのだ。

 大阪市内の会場に例年、3000人超を集めて行われる株主総会の様相が、ほかの企業と一線を画するのは、いち子会社であるタイガースの戦いぶりによって場が荒れてしまうことだ。来場する株主にはユニホーム姿もあり、チームが低迷すると経営問題以上にヤリ玉にあげられることが“恒例行事化”。年によっては株主からの質問の半数近くが、球団関連を占めることさえある。

 2012年には巨額契約したのに故障や不振にあえぐ城島、小林宏を株主が「不良債権だ」と名指しで批判。当時の球団首脳が謝罪した。2年前には失敗続きの補強について、「(内容や舞台裏を)自虐本として売ればいいのでは」と珍提案されたこともあった。

 矢野監督が就任2年目の今季は勝負の年と位置づけられ、超異例の助っ人8人体制で臨む。予定通り3月20日に開幕していたら、約3カ月後の株主総会の時期には成否も出ており、血祭りに上げられる可能性もあった。コロナ禍の影響で延期された開幕は、早くても総会2日後の6月19日の予定。ひとまず、虎党株主の怒号が飛び交う事態は回避できそうである。

 一方で、阪神電鉄関係者からは「HDの経営陣にとっては複雑な心境では」と核心を突いた指摘も。「総会では毎年、主力の鉄道、不動産事業の痛い部分を突いてくる株主もおられる。そんな中でタイガース関連の質問はある意味、風よけの役割を果たしてきたが、今年は皆無になるかもしれない」というわけだ。

 タイガースが無敗のまま迎える前例のない株主総会。普段は声が大きい虎党株主が鳴りを潜めても、「その分、コロナによる来期への影響についての質問が殺到しそう」と前出関係者は戦々恐々だ。(山戸英州)


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