伊藤和子(弁護士、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウ事務局長オーサー)

発言は「女性の尊厳と職業への配慮に欠ける」というレベルで片づけられるものでは到底ない。
経済的に追い詰められ、意に反して風俗業で働かなければならない、
それがどれほどの苦渋の選択で人格を傷つけることか。
女性の悲哀につけ込み、性搾取することを奨励する発言は差別的かつ非人道的で、人権上許しがたい。
コロナ危機を我慢して乗り越えれば女性を性搾取できると呼びかけ、リスナーを励ますことは、
女性の犠牲の上に男性が生き残るという日本の女性差別意識を強化するもので、差別の助長だ。

謝罪は本人ではなく、放送局の公式サイトへの掲載だという。発言の重大性を受け止めず、
表面的な謝罪コメントで一件落着とするのはメディアとしての自覚に著しく欠ける。

諸外国では差別発言をした著名人は降板し、公共のテレビラジオに起用しないのが通例だ。
NHKも含め、彼をこのまま起用し続けることでいいのか。
真摯かつ責任ある対応を求めたい。