ニッポン放送の特別番組「いま、音楽にできること」が18日、放送された。

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、コンサートや舞台の中止などが相次ぐ中、「エンタメ・音楽業界トップ鼎談(ていだん)」と題して、
日本音楽事業者協会・堀義貴会長、日本音楽制作者連盟・野村達矢理事長、コンサートプロモーターズ協会・中西健夫会長が出演した。

堀会長は「大抵のタレントが仕事が激減。ない方が多いと思う」。野村理事長は「3月で450億円相当、3カ月なら1500億円相当が飛ぶ」。
中西会長は「音楽、スポーツなど全てを含めて、5月いっぱいで、3300億円が飛ぶ。我々の業界、これだけ人の動きを止めている産業はないと思う。苦渋の決断をして、これがどこまで続くのか」と話した。

堀会長は「うちの業界は、自分たちで不要不急と認めて、最初に自粛した。それでも感染が収まらなくて、他の業種の方も自粛するようになった」と、騒動を振り返った。
「なくて死ぬものではないけど、歌も舞台も全部なくなったことを想像してほしい。必要な人もいるということを想像してみてほしい」と話した。

野村理事長は「衣食住というものがあって、その上で生き甲斐を感じないといけない。人間生活の中で、音楽や映画演劇で感動することが、精神的な健康につながる」。
中西会長は「ご理解いただきたいのは、アーティストとか演者がやりたいと言ってるように思うが、例えば東京ドームでコンサートをやると30社くらいが関わってくる。
アーティストは、そういう人たちの雇用も支えている。コンサートを専門にやっている会社、人たちは仕事はゼロ。かかった費用はマイナス。どうにかしなくちゃいけない時に出口がないのがじくじたる思い」と話した。

野村理事長は「我々は2月26日から先駆けて、首相の呼び掛けに応じて自粛した。コンサートを止めるということは、お客さんがいるのに止めること。
何千万円、億円という損失を背負う大変な決断をしなくてはならなかった」と振り返った。

アーティストが配信だけで収入を得ていけるシステムを再構築する必要があるという視聴者からの意見に、堀会長は「相当な数の視聴者が必要。
広告が必要になってくる。大手のアーティストはいいけど、小さい所は厳しい」と話した。野村理事長は「ヨーロッパの音楽業界はデジタルの世界に変わっていって、マーケットが世界に広がった。
日本のアーティストも、そういう目線で考えていかなくてはならない時代になってきた」と話した。

堀会長は「海外では、アーティストの大小にかかわらず、100万円を超える補助金を出しているところがある。文化に対する理解がある。
恐れているのは、これだけ経済状況が悪くなってくると、何を選択するかをよく考えていかなくてはいけない」。アーティストが自ら配信でファンに届けていることについては「周辺のスタッフを支えなくていけない。
この騒ぎが落ち着いた時に、人がいなくなってしまう」と話した。

さらに、堀会長は「2月の段階で、僕らも含めて4月になればと思っていた。3月になって、このウイルスの恐ろしさを思い知った。今は生きることが先だと思う。このウイルスで、人が人を追い込むようになった。
ミュージシャンはなんとしてでも生き延びて、人々がほんわかするようなものを届けなくてはいけない。我々は、それを下で支える人を何とかしていかなくてはならない」と話した。

[2020年4月18日19時16分] 日刊スポーツ
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