意外だったのは、海外での評価が高かったことだ。
イタリア北部の都市ウディネやアメリカのシカゴ、ドイツのフランクフルトといった欧米の映画祭に招かれ、観客賞などを相次いで受賞した。
「埼玉と東京みたいな関係は世界のどこにでもある。イタリアでもウディネと、ウディネがある州の州都トリエステ。
アメリカでニュージャージーはハドソン川対岸に住むニューヨーカーから田舎くさいと馬鹿にされる。フランクフルトでもあると言われました」

ヨーロッパでは近代に領邦国家や都市国家などが統一されて現在のイタリアやドイツといった国家が生まれた。
「どこの国でも、正面から地域間差別に切り込んだことに対する勇気みたいなものをたたえてくれた。
イタリアは日本より地域格差が激しい。ウディネでは『イタリアでやられたらしゃれにならないぞ』みたいなことを言われました」。

国を問わず、愛郷心は世界に普遍的なテーマであることに気づいたという。