先月29日に志村けんさんが亡くなった。取材の中で、志村さんがテレビ朝日系「徹子の部屋」に一度も出演していなかったと知り、とても驚いた。

【写真】映画「鉄道員(ぽっぽや)」の撮影の合間に談笑する志村けん(左)と高倉健さん

「徹子−」は76年に始まった長寿トーク番組。各界の著名人が出演するため、訃報の際には過去の放送を再編集し、故人を追悼する内容に切り替えることも多い。

志村さんが亡くなり、局に「徹子−」の追悼企画の予定について問い合わせると、「出演はありませんでした」とまさかの回答。キャリアの長いタレントなら複数回出演することのある同番組で、
50年以上芸能界にいる志村さんがたったの一度も出演していないとは思いもしなかった。オファーがなかったとも思えない。問い合わせを受けた担当者も、「出ていないなんて知らなかった」と予想外だったようだ。

記者としてご本人に話をうかがう機会はなかったが、一連の報道や追悼番組を見ていると、仕事熱心な職人ぶりやシャイな人柄を伝えるものが多かった。兄の志村知之さんに話を聞くと、
普段の志村さんは「物静か」といい、酒席での様子についても「静かにしてる。お酒が入るとしゃべるようになるけどね」と明かした。東村山の実家近くに住む人も、おいっ子を連れてラーメン店を
訪れる若かりし志村さんの印象を「寡黙な人でした」と話した。

これは全く勝手な推測だが、志村さんはトーク番組で素顔を見せることが苦手だったのだろうか。理由を聞いてみたかったなあと思いつつ、こうならなければついぞ知らなかっただろうことが、また寂しかった。
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