プロボクシングのWBA、IBF世界バンタム級統一王者の井上尚弥(大橋)が9日、10日に27歳の誕生日を迎えるにあたって書面での取材に応じた。プロデビューして8年がたち、公言している35歳での引退までの折り返し地点。新型コロナウイルス感染拡大の影響でWBO王者ジョンリール・カシメロ(31)=フィリピン=との3団体王座統一戦は延期となったが、来たるべき日に備える。

19歳でプロ生活をスタートさせた井上が、自身が描く引退までの折り返し地点を迎えた。

「プロデビューして8年。自分でも想像を超えるキャリアを築けている」

2012年10月にプロデビュー。14年4月に世界王者になると、18年5月には3階級制覇を達成した。19年11月にはワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)決勝を制し、評価を不動のものにした。

今月25日(日本時間26日)には満を持しての米ラスベガスデビューで3団体王座統一戦に臨む予定だった。しかし、新型コロナの影響で、現地で祝うはずの27歳の誕生日は日本で迎えることに。「世界的な状況を見て延期になると覚悟していた」と明かし、「最低限スキルを落とさないよう、6割程度で練習を進めている」。防御の強化と全体的な底上げを意識して、人がいない時間帯にジムワークとロードワークを行っている。

新型コロナ禍については「一人一人が意識を変えていかないといけない」と強調した。自身は緊急事態宣言が出る前から外出を控え、手洗いやうがいも徹底的に行っているという。自宅では「子供と遊んだり映画を見たり、家族のストレスをためないように過ごしている」と、2児の父親としての一面も見せた。

延期となったカシメロとの対戦には「ベストでリングに上がれるよう精進していく。カシメロのモチベーションも高く、気合が入っているのでそれ以上の気持ちで挑む」と改めて意気込んだ。27歳の抱負を「爆進(驀進=ばくしん)するのみです」と答えた“モンスター”。プロボクサーとしての第2章も歩みを止めない。(尾崎陽介)

★ツイッターで嘆き顔絵文字…

 井上はこの日、自身のツイッターを更新。「27歳になってしまう…。プロデビューして8年。1日でも現役生活を無駄にしたくない」と嘆き顔の絵文字を2つ付けて投稿した。カシメロ戦が延期になると覚悟していたとはいえ、コロナ禍で試合の日程が決まらず、思い通りの練習ができないことにはやるせない思いもあるようだ。

■井上 尚弥(いのうえ・なおや)

 1993(平成5)年4月10日生まれ、27歳。神奈川・座間市出身。神奈川・相模原青陵高で高校生初のアマ7冠。2012年10月にプロデビュー。14年4月にWBC世界ライトフライ級、同年12月にWBO世界スーパーフライ級王座を獲得。18年5月にWBA世界バンタム級王座に就き、3階級制覇を達成。19年5月にIBF世界同級王座も獲得した。同年11月にWBSS同級で優勝。プロ戦績は19戦19勝(16KO)。右ボクサーファイター。165センチ。弟の拓真(24)、いとこの浩樹(27)もプロボクサー。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200410-00000511-sanspo-fight
4/10(金) 6:00配信