新型コロナウイルス対策をめぐり、ソフトバンクグループの孫正義会長兼社長(62)が100万人のPCR検査提供をぶち上げて撤回したばかりだが、今度は楽天の三木谷浩史会長兼社長(55)も検査拡大を主張して、「周回遅れ」と批判された。ツイッターでの「炎上」が相次ぐカリスマ経営者だが、本業でも火の車状態だ。

 100万人分のPCR検査無償提供について「医療崩壊を招く」と批判されると、介護施設と開業医にマスク100万枚を寄付すると方針転換した孫氏だが、これも「一般人への供給が遅れる」と指摘された。

 だが、本当に怒っていたのはソフトバンクグループの株主かもしれない。投資先企業が不振続きで、2月12日の終値で5751円だった株価は今月19日終値では2687円まで低迷していた。

 同社は23日、株式などの保有資産のうち最大4兆5000億円分を売却、確保した資金は最大2兆円分の自社株買いや負債削減に充てると発表した。同日の株価はストップ高となったが、守りの経営を余儀なくされているのが実情だ。

 三木谷氏もツイッターで「医療崩壊が起こるから検査するなという人もいるがドイツ、韓国を見習うべきだ」とPCR検査の推進を提言。元ライブドア社長の堀江貴文氏(47)に「検査したところで感染対策にはならない。気休めのために大金使うの反対」などと批判された。

 三木谷氏率いる楽天も逆境だ。通販サイト「楽天市場」で、出店者負担による送料無料化の一律実施を見送ったが、公正取引委員会は独占禁止法に基づく審査を継続している。携帯電話事業にも孫氏の後を追う形で参入したが、大手3社に食い込めるかは不透明だ。

 一方、「100万円プレゼント」など大盤振る舞いで知られる「ZOZO」前社長の前澤友作氏(44)は、コロナ禍をめぐりツイッターで「経済回しました」として高級ワインの写真をアップしたが、「なんか違う気がする」と微妙な反応。「こういう時に逆張りしてリスクをとれる人がヒーロー」などと発言するが、目立った行動には出ていない。

 雑誌「経済界」編集局長の関慎夫氏は、「ダメだと思えばすぐに前言を撤回する姿勢は孫氏らしいが、今回の発言が世間の期待とずれていた面はある。孫氏と三木谷氏は日本経済の中枢に関わる人物でもあり、『中途半端な知識で首を突っ込まないでほしい』という世間の見方もあったのではないか」と炎上の背景を解説した。

本業でやるべきことがもっとありそうだ。

3/26(木) 16:56配信
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