感染拡大がとまらない新型コロナウイルス肺炎に、プロ野球界も戦々恐々だ。

DeNAはキャンプ地を訪れるチーム関係者や報道陣への検温を義務付け、握手などのファンサービスを自粛中。各球団ともそれぞれ対策を講じているが、

「このまま収束しなければ、開幕後の集客が危ぶまれる。ファンが感染を恐れて球場に足を運ばなければ、減収にもなってしまいます」(ベテラン記者)

収入面で大きな痛手を受けるのが、「グッズ販売」だという。

「近年は各球団とも『観戦者にオリジナルグッズをプレゼント』という試合を頻繁に開催している。しかし、そうしたグッズの多くは中国製のため、製造・輸入の目途が立たなくなりつつあるのです」(同前)

例えばヤクルトは、開幕以降に神宮球場で主催する6試合で、バッグやタオル、ユニホーム、村上宗隆選手の人形などをプレゼントするイベントを予定していた。
だが先日、公式サイトで、当日にグッズを渡せない場合は「後日お渡し対応させていただきます」と発表。ロッテや中日、日本ハムも同様の告知を出している。

前出のベテラン記者は、「つまり、グッズが中国から届かなくなり、ファンに渡せない可能性が出てきた。これは大打撃です」と言う。

「最近の球界では“限定ユニホーム”などレア感のあるグッズを配ってファンを惹きつけることが、観客動員増の大きな要因になっていた。
東京ドームの巨人戦で、実数発表以降の最多入場者数を記録したのは、2018年に“橙魂(とうこん)デー”と銘打ってユニホームを無料で配った試合でした。
グッズ生産が遅れれば、間違いなく観客動員に影響してきます」(スポーツ紙デスク)

禁止になったジェット風船は一番の“ドル箱”

オープン戦ではほとんどの球団がジェット風船による応援を禁止に。風船に含まれた唾液が頭上から降ってくる状況は、まさに“飛沫感染”の恐れがある。当然の対応に思えるが、

「実は風船こそが一番、ドル箱のグッズなのです。200円前後ですが、満員なら1試合で1000万円程度の売上が見込めるとか」(同前)

別のベテラン記者はこう本音を吐露する。

「個人的には密閉空間のドーム球場には取材に行きたくない。だけど、そういう危険性について書けない空気がある。
スポーツマスコミが『危ない』って騒いだら、東京五輪の会場は大丈夫か、という話に広がっていく恐れがあるので、どこかタブーになっています」

スポーツ界では、Jリーグが3月15日までの公式戦の延期を決定するなど、新型肺炎の影響が拡大しつつある。2020年はプロ野球界にとって、試練の年になりそうだ。

「週刊文春」編集部/週刊文春 2020年3月5日号

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200302-00036318-bunshun-spo
3/2(月) 11:21配信