安倍首相は2月26日、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、2週間程度の期間においてスポーツや文化的イベントの開催を自粛するように呼びかけた。これを受け、同日に開催予定だったPerfumeの東京ドーム公演やEXILEの京セラドーム公演は急きょ中止。
そのほか、規模にかかわらず、多くのスポーツや音楽、演劇イベントが中止もしくは延期となっている。

「大きな会場でのイベントは振替公演のための場所を確保するのも難しく、延期にできないケースも多い。ウイルス拡散防止のための中止は保険の対象ではないので、損害を主催者がすべてかぶってしまう可能性が高く、芸能事務所やレコード会社、イベンターにとってはかなりの大打撃です」(音楽業界関係者)

中止発表となる直前の東京ドーム周辺には、すでに Perfumeのファンが多く集まっていた。

「人混みが感染拡大の危険性をはらんでいるというのであれば、中止発表前の段階で東京ドーム周辺も十分に危なかったということになる。グッズ列にも多くのファンが並んでいたし、感染拡大の予防になっていなかったのではないか、との声も多い。Perfumeとしては、安倍首相の要請に振り回されて、貧乏くじを引かされた格好です」(同)

1回のドーム公演中止の損害額は数億円から十数億円ともいわれている。

「Perfumeの所属事務所であるアミューズやEXILEが所属するLDHにとっては、まさかすぎる展開ですよ。政府がもっと早く多くの情報を公開していれば、
エンタメ業界全体で時間をかけていろいろな対応もできたはず。完全に無能な政府のしわ寄せをエンタメ業界が食らっている状態です」(芸能事務所関係者)

自粛要請はいつまで?バンドやアイドル運営は倒産危機に

しかし、本当に損害が深刻なのは、アミューズやLDHのような大手事務所ではなく、小規模の音楽事務所だという。

「大手事務所であれば、テレビや映画などの映像作品、CDや音楽配信で売り上げを確保することができる。しかし、ライブをメインの収入源としているインディーズ系のバンドや地下アイドルは、イベントが中止になったら、売り上げがゼロになってしまう。
数百人キャパのライブハウスでイベントを主催にするにしても、100万〜200万円くらいかかることもあります。小さな事務所がいきなりそれくらいの損害を受けたら、一大事ですよ。仮に2週間の週末で4本主催ライブがあったとしたら、数百万円レベルのマイナスになってしまう。しかも、自粛要請がいつまで続くかもわからない。恐ろしい状況です。活動が一切できなくなるバンドや、倒産する地下アイドル運営が全国規模で続出するでしょう」(ライブハウス関係者)

さらに、小劇団なども瀕死の状態に追いやられそうだ。

「バンドやアイドルであれば、音源を売ってどうにか食いつなぐこともできるかもしれないけど、チケットの売り上げのみが収入源となる小劇団は、公演中止となれば完全アウト。劇団だけでなく、劇場サイドもアウトでしょう。
多くの演劇関係者が借金苦になって、小劇場が次々と潰れていく悲惨な未来が想像できます。このままでは新型肺炎になるよりも先に、首が回らなくなって自ら命を落とすことになるエンタメ関係者が出てくるんじゃないかと不安ですよ……」(同)

日本のエンタメ業界を壊滅させんばかりの新型コロナウイルス。クールジャパンなどと言って、日本のエンターテインメントを海外に売り込もうと躍起になっている政府は、すぐにでもエンタメ業界を支援しなくてはならないはずだ。

https://www.cyzo.com/2020/02/post_232855_entry.html
(2020/02/29 12:00)