コンタクトが常で、相手にダメージを与えることを目的とする格闘技で、44歳は決して若くはない。気にしないと語る秋山だが、逆の面で意識することがある。

「ONEで自分が一番年上らしいんです。最年長ファイターなのはうれしいし、余計がんばらないとなって思います」

 では、サッカーの三浦知良(横浜FC)のような存在を目指すのか? そんなふうに水を向けてみる。

「いやあ、それだと50まで行かなくちゃならないじゃないですか(笑)。行けたら行きたいですけど、自分が試合をしたくても『契約は終わり』って言われたらそれで終わりですし、自分もONEが終わったらほかへ行くつもりもないです。

 なので、まず契約のある47までがんばって、そこで自分にまだ商品価値があって、観客を集められるだけの選手なのであれば、また契約という話になると思います。でも、50って言われて一瞬戸惑いますけど、がんばれるのであればがんばりたいし、気持ちとしてはあるっていうことでしょうね」

柔道で五輪出場の夢が絶たれ、秋山がプロ格闘家に転向したのが2004年大晦日。2006年末には物議を醸し処罰を受けた桜庭和志戦があり、2009年7月からはUFCを主戦場とする。

 UFCでは、大会ベストバウトとなる「ファイト・オブ・ザ・ナイト」を3試合連続で獲得する激闘男ぶりも発揮。2015年11月に行なわれたUFC初の韓国大会でも、メインカードに名を連ねた。しかし、そこから戦線離脱し、昨年6月、ONEでのアギラン・ターニ戦が実に3年7カ月ぶりの実戦となった(判定負け)。

 格闘家と並行して芸能活動を行なっている秋山は韓国で複数のCMに出演し、長女も子役タレントとして人気を博するなど、もはや格闘技に執着する必要はない。危険が不可避なこの競技を、なぜ今も続けているのか。そして、なぜ長いブランクのあとで戻ってきたのか。

「結局、格闘技に勝るものが今のところないんだと思ってます。芸能関係だったり、ほかの仕事も自分が好きなことをやっているのは事実なんですけど、格闘技より面白いことが見つかっていないんでしょうね。アスリートとしてやっている準備期間や考え、人との出会いであったり、それが何より居心地いいっていうか。それは本当に現役だからこそわかることだと思うし、ありがたいことだと思ってます」
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