世界の注目を集めたビッグマッチで、千両役者となったのは、英国出身のタイソン・フューリーだった。

現地時間2月22日、アメリカのラスベガスにあるMGMグランドガーデン・アリーナで行なわれたボクシングのWBC世界ヘビー級タイトルマッチで、元3団体統一王者フューリー(イギリス)は、王者のデオンテイ・ワイルダー(アメリカ)に7回1分39秒でのTKO勝ちを収め、王座に返り咲いた。

圧巻のTKO劇である。試合開始とともに前に出たフューリーは、効果的にジャブを浴びせ主導権を握る。あまりの圧にたじろぐワイルダーを尻目に猛攻を続けた31歳の英国戦士は、2回と5回に2度のダウンを奪って迎えた7回途中にラッシュ。これでフラフラになった王者の様子を見た敵陣営からタオルが投げ込まれる形で、“世紀の再戦”は決着した。

「キングが帰ってきたんだ」。試合直後のフラッシュインタビューで高らかに宣言したフューリー。今回のワイルダー戦は、およそ2年前の対決からの再戦だけでなく、2016年に薬物使用とそううつ病の発症の発表、それに伴う体重増加など、あらゆる問題に苛まれた男の見事なカムバックという意味でも、まさしくドラマチックな幕切れとなった。

当人もこの勝利に対する並々ならぬ想いを明かしている。試合後、母国で中継を担っていた英メディア『BT Sport』の取材に応じ、「俺はどん底にいた時から色んな人に『“ジプシーキング(自身の愛称)”はいつか王位に戻る』と言ってきた」と語り、こう続けている。

「誰もが俺を打ちのめそうとしたが、俺は過剰なぐらいにトレーニングをして、常に体重不足を補った。そしてデストロイヤーになったんだ。そして、俺は有言実行の男だ。ワイルダー、アイツのチーム、そして世界に伝えてきた『ノックアウトするためにトレーニングをしている』とね」

さらにフューリーは、自身に悲観的な見方をしていた周囲に対する反骨心を抱いていたことも告白している。

「俺はカムバックできるといつだって言っていた。誰もが、俺が用済みで、ただのデブのハゲ頭になり、もう戦えないと思っていたと思う。それを見返すつもりでいた。俺は今、全盛期にあるんだよ。アイツ(ワイルダー)は最高の俺と戦ったんだ」

周囲を見返すパフォーマンスを見せたフューリー。31歳にして意気軒昂な“キング”の今後から目が離せない。


https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200224-00010009-thedigest-spo
2/24(月) 17:55配信