関係者が「最も恐怖を感じた日」という2011年3月15 日は、
菅首相が東京電力本社に乗り込んで「撤退 は許さないぞ」と叫んだ日として知られている。

枝野官房長官
「現状、原発の状況が相当深刻な状態にある。それに加え、東電から現場を撤退したいとの申し出もあった。官邸側として撤退は認めていないものの、これから一層事態が深刻化した場合、どのような判断をとるか決めていきたい」。

普段饒舌な長官だが、珍しく導入が下手な気がした。
なかば撤退を将来的に認めるかのような導入だった。一瞬の沈黙の後、総理が強い口調で発言。

菅総理
「撤退なんてあり得ないんだ!撤退を認めたらこの国はどうなるんだ!」
「東電の清水社長を官邸に呼べ」。
「これで東電が投げ出したら、全ての原発がダメになる。福島第一だけじゃなく、第二も、それ以外の原発も。それは東日本全部がダメになるってことだ。」
「そうなったら国の体をなしてない。そんな日本だったら、他国から管理される結末になる」

総理から「直ちに東電に行くから、準備するように。どれぐらい準備に必要か?」
東京電力清水社長も驚いた様子だった。
清水社長「二時間ぐらいあれば…」
総理「そんな悠長な時間はない!」
清水社長「…」
総理「一時間で用意して下さい。細野君を同行させます」
清水社長「はい…」

寺田秘書官
「そもそも、総理が民間企業に深刻な命令を下すことは出来るのか」
「統合本部の法的根拠と指示権限をはっきりさせたほうがいいのではないでしょうか」

菅総理
「だから、いまそんなこと言ってる場合じゃないんだよ!日本国存亡の危機だぞ!」
「自国の原発事故を、自ら放棄する事は、国として成り立たない。そんな国は他国に侵略される。」
「撤退しても、東電は潰れる。だからやるしかないんだ」。
「60歳以上の職員は全員現地に行く覚悟でやれ。俺も行く」。