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銀幕俳優、大御所歌手、正統派アイドルなど、ファンから遠ければ遠いほど強いオーラを放っていた“昭和のスター”から、気軽に会いに行ける、SNSの交流などから、平成は“親近感”あふれるタレントにニーズが変化した時代といえるだろう。そして令和の今、「俺か、俺以外か」のROLANDや、「僕イケメン」発言の吉沢亮など、強烈な“自己肯定”を発する芸能人が台頭しはじめている。一昔前であれば日本人らしい謙遜や謙虚さが今より求められていたが、彼らの清々しいまでの自己主張がむしろ崇められる傾向にある。その理由とは。

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■昭和のスターは“自我の塊”、ネットパトロールが変えた「破天荒」のカタチ

 昭和まで遡って振り返ると、孤高の存在だったスターたちはすでに“自我の塊”だったといえる。「破天荒芸人」の代表である横山やすしは、新人時代のダウンタウンを罵倒するなど生放送でも暴言を連発し、トイレに行ったまま帰ってしまうなど数々の逸話を残してこの世を去った。いまだ現役バリバリのビートたけしにしても、「フライデー事件」やバイク事故の顔面麻痺会見などで世間を騒がしながら、自らを“ネタ”にしていく図太さがあった。

 また、俳優やミュージシャンも、「スターだから…」とある程度許される風潮があったのも昭和だ。現在は、薬物所持事件や不倫騒動があればマスコミ・世間が総出となって叩き、いわゆる“干される”状態になるのが普通だが、昭和の時代は大物タレントが不祥事を起こしても、なんとなく復帰する例が多かった。下着に麻薬を隠して逮捕された勝新太郎などは、「もうパンツは履かない」と記者会見でうそぶき、咽頭がんの公表記者会見で「タバコはやめた」と言いながらタバコを吸ったことは、もはやレジェンドとなっている。また、数々の女性とのスキャンダルでワイドショーを賑わせた火野正平も、のちに「平成の火野正平」といった“その道”の代名詞たる存在にまでなった。

 では今、「破天荒」が芸能界にいるだろうか。平成ノブシコブシ・吉村崇や千鳥・大悟なども破天荒をウリにはしているものの、「破天荒に振る舞うわりにヘタレ」「実は真面目」という部分が面白がられており、結局は常にコンプライアンスに引っかからない程度の“悪ふざけ”に留めている、節度ありまくり芸人なわけだ。実際、節度を超えたベッキーや木下優樹菜はSNSを世間にさらされ、すぐさま仕事を失うこととなった。

 誰もがスマホで撮影ができ、SNSで全世界に配信できてしまう現在、芸能人はメディアでもプライベートでも24時間監視されているような状況にある。世間のネットパトロールの下では公のトークも炎上を避けた「無難でいい子発言」をせざるをえず、実質、破天荒タレントは消えたといってもいいだろう。

 結果、アイドルにしても身近で“会いに行ける”AKB48が一世を風靡し、ジャニーズもスター性というよりは“安心感”のある嵐が人気を博し、芸人にしても“好感度”重視なサンドウィッチマン、アナウンサーにしても才色兼備というよりは“親近感”たっぷりの水卜麻美が愛される時代となった。もはやタレントは憧れの存在として崇められるのではなく、視聴者と“等身大”に接する存在となったのである。

2/4(火) 8:40配信
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