■「仕事部屋か欲しい」夫の希望を却下

 今頃になって、ようやくあの言葉の意味が理解できたわけだが、取材過程でこんな証言も耳にした。

「結婚以来、順調に仕事の量を増やす東出が杏に『役者の仕事をまっとうしたいので(自宅とは別に)仕事部屋を借りてもいいかな?』と提案すると、彼女は頑として首を縦に振らなかったそうです。人気俳優が台本読みに集中してセリフを覚えるために仕事部屋を借りるのは珍しくありません。もともと、不器用なタイプの彼が3人の子育てをしながら、その合間に台本を暗記するなんて、よく考えたら無理なはずですが、杏は聞く耳を持ちませんでした。杏の父親の渡辺謙の離婚訴訟は有名な話です。実はこの仕事部屋というのがくせもので、浮気相手との密会に悪用する俳優もいます。それを熟知している杏からすれば到底認められなかったのでしょう」(あるベテラン俳優)

 もちろん、仕事部屋だけが原因だったわけではなかった。“理想の夫婦”の内実は複雑だったようだ。

「東出さんは、帰宅後に杏さんから自らの演技についていろいろと指摘されるのが『心身にこたえる』と漏らしていました。杏さんの指摘は一つ一つが非常に的確で正しい。それは東出さんが普段から気にしているところだったようで、痛いところを突かれた彼は『かなり落ち込む』と打ち上げの席で漏らしていました」(制作会社スタッフ)

 杏からすれば夫を案じた親切心からの“アドバイス”だったのだろうが、東出にとって仕事後も妻から“指導”される家庭は心の底からくつろげる場所だったのだろうか。だからといって東出の愚行が許されるわけではないが、2人の間に根底に構造的な問題がある以上、東出が猛省したからといって夫婦関係がすぐに修復に向かうとは限らない。