結成4年目の昨年に初の東京ドーム公演を行い、グループが全盛期に入るところでのエース平手の卒業は、
AKB48の初の東京ドームで卒業した前田敦子(28)とダブる衝撃だ。

2人の共通点は、秋元康総合プロデューサーが指名し続けた、代えの効かない「絶対的エース」だったこと。
即ち、華やかさの裏で孤立するポジションだ。

誰もが憧れのセンターを夢見て、アイドルグループに加入する。
しかし、楽曲のたびにセンターが変わる乃木坂46などと違い、欅坂46は、デビュー曲からの全曲が平手のセンター。

デビュー曲「サイレントマジョリティー」では、平手以外は全員が倒れ伏す演出のミュージックビデオで、
まるで平手のソロ曲のような内容だった。

その後も、従来のアイドルイメージを打破する“笑わないアイドルグループ”として、80年代の尾崎豊のような大人や社会への反抗曲を歌い続けた。
キラキラ衣装で笑顔のアイドルをやりたいメンバーもいる中、若者の代弁者=センター平手の心境を叫ぶ曲だけを出し続けた。

結果、ロックフェスでは普通のロックバンド以上に大歓声を浴びるようになり、平手は尾崎のような若者のカリスマになった。

ただ、自然と仲間との距離は広がっていき、平手は心身を崩しての休養を繰り返す。
2、3番人気のメンバーは、閉塞感に悩み先に卒業。仲良しこよしの楽しいグループにはなれなかった。

熱狂的なファンを生む前代未聞のアイドルグループになったが、平手らメンバーへの代償は大きかった。
シングルも昨年2月に発売してから、1年間もリリースなし。

もはや、平手のセンターでは、普通に新曲制作できないことを意味していた。平手も周囲も限界だった。

ファンや仲間だけでなくスタッフにまで教祖的存在だった平手の卒業は、当然、欅坂最大の危機となる。

ただ、だからこそグループをゼロから作り直すことができる。現状路線を進むのか、キラキラアイドルに180度舵を切るのか、
残されたメンバーのやる気次第でどうにでもなれる。ピンチはチャンス。1年後には、誰も想像つかないグループになっているかもしれない。
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2020/01/23/kiji/20200123s00041000294000c.html