これまで日本フィギュア界を引っ張ってきた2人が、別々の道を歩むことになる。羽生結弦(25才)、高橋大輔(33才)両選手だ。

「全日本選手権(2019年12月19日開幕)を最後に、高橋選手はアイスダンスに転向するからです。2人が同じ舞台で戦う最後の試合のため、チケットの争奪戦も激しくなりました。惜しむ声もありますが、フィギュア界の一部からは安堵の声も聞こえます。彼らのファンは折り合いが悪かったので…」(スポーツライター)

 羽生選手がシニアデビューをした2010年。高橋選手は日本の“絶対的”エースだった。羽生選手は「世界一」といわれた、やわらかく表現力豊かな高橋選手のステップを目標にしていたほどだが、2014年のソチ五輪で羽生選手が金メダルを獲得し、高橋選手が6位入賞に終わると状況は一変した。

「もともと熱狂的な“信者”が多いことで知られる両選手ですが、この頃からファンが、どっちが優れているかという“マウントポジション”の取り合いを始めたんです。インターネットの掲示板では《ゆづはもう高橋と次元が違う》と羽生ファンが書けば、《大ちゃんの表現力に羽生はまだ足元にも及ばない》と高橋ファンがやり返すなどバトルが激化していきました」(前出・スポーツライター)

 ソチ五輪が開催された年である2014年の10月、高橋選手が引退を表明したことで冷却期間に入ったが、2018年7月に現役復帰すると、“場外乱闘”も再開したのである。

 しかし、高橋選手が2度目の引退、アイスダンスへの転向を表明したことで、両者の関係が大きく変わり始めたという。

「高橋選手は2019年シーズン、けがもあって全日本が一発目の試合。《3位は狙える》などと書き込む熱狂的な高橋ファンが一部いるぐらいで、多くのファンは、羽生選手とは比べられる状態にないというのが本音でしょう。一方の羽生ファンは、先日のグランプリファイナルで優勝したネイサン・チェン選手(20才)をライバル認定しているので、高橋ファンとのイザコザは激減しています」(前出・スポーツライター)

 それどころか、電撃和解のムードが漂っているという。

「高橋選手がこれから目指すのはアイスダンスの日本代表となり、2022年の北京五輪への出場でしょう。日本はこのジャンルは他国と比べて弱い。高橋選手の表現力があれば、日本のアイスダンスのレベルは必ず上がります。今後は別種目の競技者になるわけで、共に北京五輪を目指す“同士”という機運も出てきたとか。

 五輪の団体戦では2人はチームメートになる可能性もありますからね」(フィギュアスケート関係者)

「競争」から、強いジャパンの「共創」へ。シングル選手としての高橋選手のラストダンスは、和解の前奏曲になる。

12/19(木) 16:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191219-00000013-pseven-spo