それでも女性のエンパワメントは奨励されるべきだし、このリブート版を、女性監督(エリザベス・バンクス)と、異なる人種の女優3人(クリステン・スチュワート、エラ・バリンズカ、ナオミ・スコット)で作った姿勢は大いに評価したいのだが、ターゲット層がそこまで踏まえて、映画を選ぶとも思えない。

 『チャーリーズ・エンジェル』に関しては、持ち出す必要のない昔のヒット作を、欲しいと言ってもいない人たちのために持ち出してきた結果の失敗といえる。

 そんな中、パラマウントは、長年、やる、やると言いつつ机の上で転がしてきた『ビバリーヒルズ・コップ4』を、ついにNetflixに任せる決断をした。

 『ビバリーヒルズ・コップ』シリーズは、1984年、1987年、1994年に公開。主演のエディ・マーフィやプロデューサーのジェリー・ブラッカイマーが、劇場公開されないことをどう感じているかはわからないが、やるという約束を破ることなく、自分たちがリスクを負わなくてよくしたのは、パラマウントにとって賢い選択かもしれない。

 一方で、もう始動してしまい、自由に身動きが取れない作品もある。来年1月公開の『バッドボーイズ フォー・ライフ』や、2021年から2027年にかけて2年おきに公開される『アバター』の続編がそれだ。前者は、17年ぶりに作られるシリーズ3作目。後者は12年ぶりとなるが、2作目から5作目までの4本をいっぺんに撮影するという、大胆なことをしている。来年はまた、34年ぶりに『トップガン』続編の公開も控える。

■「コケる」「コケない」は神のみぞ知る

 とはいっても、これらがコケると決まったわけではない。実際、間が大きくあいても大ヒットした例はある。その代表は、『スター・ウォーズ』だ。20億ドルという驚異的な世界興収を達成したエピソード7『フォースの覚醒』は、そのひとつ前のエピソード3の10年後に公開されている。

 また、昨年は、『Mr. インクレディブル』の14年後に作られた『インクレディブル・ファミリー』が、前作の倍の世界興収を上げた。その前の年には、やはりピクサーの『ファインディング・ドリー』が、15年前の前作『ファインディング・ニモ』を上回る成績を打ち立てている。

 つまり、絶対的ルールはないということ。この後、久々の続編が立て続けに当たるようなことだって、十分に起こりえるだろう。

 だが、たとえそうなったとしても、慌てて古いタイトルを引っ張りだそうとはしないほうがいい。せっかく長年愛されてきた映画は、よほどちゃんとした理由がないかぎり、そのままにしておいたほうがいいのではないか。少なくとも、ファンはそう望んでいる。