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 「エリカ様ショック」が各テレビ局を襲った。

 11月16日に合成麻薬MDMAの所持容疑で逮捕された女優・沢尻エリカ容疑者(33)。熾烈な視聴率争いの中、常に魅力的なキャスティングを模索し続けている各局にとって、今年3月に麻薬取締法違反で逮捕された俳優・ピエール瀧(52)、10月に多額の申告漏れと所得隠しが発覚し、活動自粛中の「チュートリアル」徳井義実(44)に続く一大スキャンダルだった。

 彼ら“旬の人気者”が突然、コースアウトすることが番組に及ぼす損害は甚大そのもの。今月下旬、各局で連日開かれた社長や制作トップの定例会見も沢尻容疑者らへの苦言と叱責の言葉であふれた。

 まずは沢尻容疑者逮捕により億単位の損害を被ったとされるNHK。同容疑者は当初、来年1月5日放送開始の予定だった通算59作目の大河ドラマ「麒麟がくる」(日曜・後8時)に斎藤道三の娘、後に織田信長の正妻となる帰蝶(濃姫)役で出演予定だった。

 位置づけは準ヒロイン。長谷川博己(42)演じる主人公・明智光秀とのシーンも多数あり、突然の逮捕劇で急きょ川口春奈(24)が代役を務めることになったが、撮り直しのため、放送開始は来年1月19日以降になることが決定。前代未聞の初回の2週以上先送りという事態に追い込まれた。

 20日の総局長会見。いつもは穏やかな笑みを浮かべ、質問に答えてくれる木田幸紀放送総局長が苦悩の表情を浮かべて言った。

 「沢尻さんには極めて重要な役を演じていただくことになっていました。すでに収録も進んでいる中での逮捕ということで大変、遺憾であると思っています」。

 ここ数年の大河ドラマは出演者の不祥事に続けざまに見舞われてきた。現在、放送中の「いだてん〜東京オリムピック噺(ばなし)〜」では逮捕を受け、ピエール瀧が降板。三宅弘城(51)を代役にして過去の出演シーンまで遡っての撮り直しを余儀なくされた。

 10月には東京五輪女子バレーボール監督の大松博文氏役で撮影も終了していた徳井に多額の申告漏れと所得隠しが発覚。その出演シーンの再編集作業を突貫工事で行うなど受難続き。18年の「西郷どん」でも女優・斉藤由貴(53)が不倫騒動で出演を辞退したため、南野陽子(52)が代役に。看板番組の大河ドラマでは3年連続での出演者の途中交代となっている。

 さらに、1977年の入局後、90年の大河「翔ぶが如く」演出、97年の同「毛利元就」制作統括など一環して制作畑を歩んだ“NHK放送全体の顔”と言っていい木田氏は沢尻容疑者に関して、「昔に比べて、事務所の管理など俳優、タレントを取り巻く環境が変わっているのか」と聞かれると、「こういうことが起こると、視聴者の皆様にとって残念なことだし、一緒にやっている出演者、スタッフも絶対、口にはしませんが、それはそれでショックだろうと思います。みんなが力を合わせて一つの作品が作られるわけですから、たまたま出演者のことが続きましたけれども、出演者だけでなく、スタッフもこうした仕事に関わる全ての人の夢を託されている仕事ですから。それを裏切らないように、しっかりと自分の責任を見つめて欲しいなと思います」と苦言を呈した。

つづく

11/30(土) 11:00配信 スポーツ報知
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