イブラが「ヘイトクライム」被害を訴え、銅像に火放たれ住居には落書き
2019年11月29日 10:14
発信地：ストックホルム/スウェーデン
【11月29日 AFP】サッカー元スウェーデン代表のズラタン・イブラヒモビッチ（Zlatan Ibrahimovic）が28日、器物破損の被害と人種差別的な脅迫を受けたとして、ヘイトクライム（憎悪犯罪）の被害届を提出した。同日、警察が明かした。イブラヒモビッチは前日に母国のクラブ、ハンマルビーIF（Hammarby IF）の共同オーナーになったと発表したばかりだった。
マルメ（Malmo）に建てられたイブラヒモビッチの銅像は火を放たれた上に塗料が散布され、ストックホルムにある同選手の自宅玄関ドアには「裏切り者」とペイントされた。
脅迫した犯人は現時点で特定されていないが、イブラヒモビッチはこの前日に古巣のライバルであるハンマルビーの株式を取得したと発表し、1999年に自身のプロキャリアをスタートさせたマルメFF（Malmo FF）のファンの怒りを買っていた。
これを受けてマルメではフードを被った数人がわずか2か月前にお披露目されたばかりのイブラヒモビッチの銅像の破壊行為に及び、銅像の近くにはボスニア語で「ジブシー」を意味する「Cigani」、スウェーデン語で「死」を意味する「do（oの文字の上にウムラウト）」という文字がスプレーで落書きされた。マルメで生まれたイブラヒモビッチは、ボスニア人の父親とクロアチア人の母親を持つ。
ソーシャルメディア上にはマスクを被った人物が銅像に着火する動画も投稿されている。なお、銅像に深刻な被害はなく、これを受けてその周囲には防護柵が設置されている。
当局の担当者はAFPに対し、「ヘイトクライムの動機に基づいた器物破損と脅迫の捜査が開始された。訴え出たのはズラタン・イブラヒモビッチだ」と明かしている。
また、27日にはイブラヒモビッチに激怒したサポーターが銅像の片腕にトイレの便座をかけていた。ストックホルムに拠点を置き、リーグではマルメFFとしのぎを削るハンマルビーは同日午前、イブラヒモビッチがクラブの株式の約25パーセントを取得したと発表していた。
マルメFFのサポーターズクラブの副会長は同国のテレビ局TV4に対し、「彼（イブラヒモビッチ）は彼を彼たらしめた街を見捨てた」とコメントしている。
28日正午には、マルメにあるイブラヒモビッチの銅像の即時撤去を求めるネット上の嘆願書に7000人が署名。署名した人からは「どうしたらわれわれにこんなことができるのか？」、「金だけの問題ではない」と怒りの声が上がっている。
ストックホルムにあるイブラヒモビッチの住居には「裏切り者」と落書きされ、外ではニシンを発酵させて作るスウェーデン料理で、強烈な臭いを放つ「シュールストレミング」の缶詰のふたが開けられていた。
今年いっぱいで米メジャーリーグサッカー（MLS）のロサンゼルス・ギャラクシー（Los Angeles Galaxy）との契約が切れるイブラヒモビッチは、今後の去就については明言していない。(c)AFP
